ハロウィンシリーズ第三弾「ハロウィンⅢ」(1982)。
これも我が家のホームドクターが貸してくれたブルーレイで見ました。
ちなみにこの映画は日本未公開。
この次の「ハロウィン4ブギーマンの復活」(1988)、「ハロウィン5 ブギーマンの逆襲」(1989)、「ハロウィン6 最後の戦い」(1995)も全部日本未公開。
もう日本での人気がなくなり始めた頃の作品です。
さて、どんな映画なのか見てみます。
(あらすじ)
暗闇の中、何者かに追われていた男が病院に収容される。しかしそこに謎の男が現れて、彼を殺害してしまう。担当医師だった主人公は、被害者の娘と共に、おもちゃ屋だった父親が死ぬ直前に訪れたという、ハロウィンのマスクを製造する会社に近づくことにしたのだが・・・
何の前情報もなく、見ました。
ハロウィンと言えば、ジョン・カーペンター。
前作「ハロウィン2」(1981)では監督こそしていませんが、製作・脚本・音楽を担当し、とってもカーペンター印のハロウィンになってました。
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この映画では、ジョン・カーペンターは製作と音楽のみ。
脚本は書いてません。
まぁ、これは前作も監督してないので、そんなに驚きはしませんでした。
しかしクレジットを見てびっくり。
ジェイミー・リー・カーティスが出てないんです!
えっ!?ハロウィンのヒロインが出てない!
では、殺人鬼マイケル・マイヤーズは舞台を変えて、別の町で凶行を繰り広げる話なのか?!
そう思ったんですが、何と
マイケル・マイヤーズも出てこない!
そうなんです。
この映画は前二作と全く関係のない映画だったんです。
ただのハロウィンにちなんだホラー。
こういうのって、普通、前作と全然関係ない人たちがバッタもん的に作る映画です。
でも、ちゃんとジョン・カーペンターが絡んでるから余計にビックリです。
この映画、ショッカーの怪人が企む陰謀みたいな話なんです。
ストーンヘンジの摩訶不思議なパワーを使って、ハロウィンの日に人々を大量殺害しようとする悪の親玉。
手下は見た目が人間そっくりのロボット。
その悪事を、最初の犠牲者を担当した医者が防ごうとするんです。
前二作がカーペンターの作品の中では比較的しっかり作られていたのに対し、こっちはかなりズブズブの出来。
(本当は二作目もそれなりにズブズブでしたけどw)
主人公は、ちょいワルおやじ風の中年医者。
冒頭で別れた家族を大切にしてるエピソードが出てくるんですが、ヒロインを始め、すぐに女性に手を出しちゃう、リアルちょいワルオヤジ。
口髭生やして、脂ぎってます。
悪の組織である大手オモチャ会社は、販売しているハロウィンのマスクに仕掛けをして、ハロウィン当日に子供たちを化物に変えちゃう計画。
世界征服を企むショッカーが幼稚園バスをハイジャックするみたいなノリに見えませんか?
そんで、悪事を暴こうとするやつは人型ロボットを使って殺してくわけです。
ともかく行き当たりばったり感が、めっちゃ強いです。
唐突に終盤になったらストーンヘンジパワーか、ドルイド族の血の儀式の再現とか言い出すし、ストーンヘッジの欠片が入ったチップをイジるとそこから青いビームが出てくるとか、主人公が思いつきでばらまいたチップで敵のコンピューターがショートし、挙げ句の果てに、そのまま基地が大炎上するとか。
すんげー雑。
でも、思ったんです。
あー、とってもカーペンターの映画を見てる気分だなぁ、と。
だって彼のいつも作る雑な映画に似てるんですよ。
これってカーペンター監督の「ゼイリブ」(1988)と同じ肌触り。
こんなにカーペンターが関係してないのに、あのチープなカーペンターがここにいるんです。
とって不思議。
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終盤で助け出したと思ったヒロインが、実はロボットに入れ替わってた!っていうシーンを見た時、「あれ、最近もこういうの見たぞ?」と。
そうです
「悪魔の植物人間」(1974)のラストと一緒でした。
(こちらは助け出した恋人が、ラストで植物人間に変化していく)
みんな、考えることは同じですねー。
そもそも人をロボットに入れ替えるのは「未来世界」(1976)からヒントを得てるんでしょうか。
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ラストシーンで、マスクを被ってる子供を怪物に変える電波が隠されたCMを止めるため、主人公がテレビ局に片っ端から電話をして、「早く止めろ!」っていうところて終わるんですが、ちょっとした絶望感が漂っていて良かったですね。
やっぱり、そもそもマスクを被った子供が、ハロウィンの夜9時に流れるCMを見ないと怪物にならない、っていう計画って、ちょっと無理がないですか?
やっぱり仮面ライダーの怪人が考える計画みたいです。
B級の中のB級、そんな映画です。
ハロウィンシリーズを通しで見たい人は、見なくてもいいです。
本当にハロウィンシリーズとは何の繋がりもない映画ですから。
でもジョン・カーペンター好きなら、見てもいいかも。
だって彼の映画じゃないけど、疑似カーペンター体験が出来るから。
そういう意味では、同じく彼が製作した「フィラデルフィア・エクスペリメント」(1984)と同じてすね。
カーペンターの影響力、恐るべし。
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ちなみにこの後もハロウィンシリーズは作られますが、基本はちゃんと1作目、2作目と繋がるようになってるようです。
でもこの映画の後の数本は日本未公開→ビデオスルーが続いてたようです。カーペンター監督もこの作品以降、「ハロウィン」(2018)で製作総指揮をするハロウィンシリーズには関わってないです。
「ハロウィン」(2018)は、久々にジェイミー・リー・カーティスも1作目&2作目のヒロイン役として出演しており、正統な続編のようなので、ちょっと見て見たいです。
「ハロウィンⅢ」は国内版DVDもBlu-rayも現在、入手困難です・・・