パグ太郎の<昭和の妖しい映画目撃者>

昭和の映画目撃談&時々その他いろいろ

【フィラデルフィア・エクスペリメント】都市伝説の完全映画化?

今回、皆様にご紹介するのはフィラデルフィア・エクスペリメント1984)。

有名な都市伝説「フィラデルフィア計画」を元にしたSF映画です。

公開当時はその都市伝説をジョン・カーペンターが映画化!」という触れ込みでした。

 

(あらすじ)

第二次世界大戦中、フィラデルフィアでレーダーから身を隠す実験(フィラデルフィア計画)が行われた。しかし特殊な装置をつけた実験船・エルドリッジ号はレーダーから消えただけでなく、乗組員もろとも本当に消失してしまった。実験のためにエルドリッジ号に乗り込んでいた主人公は、気が付くと砂漠の真ん中にいた。そこは1984年の世界だった・・・


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都市伝説ではフィラデルフィア計画で消えた軍艦は、その後戻ってきたが乗組員は体が船にのめり込んでいたり、重度の火傷を負ったり、発狂していた。どこに行っていたのかは分からず、軍はこの計画自体を闇に葬った、というもの。

 

この映画のあらすじはほんとんど都市伝説と同じす。

そこに主人公は現代に来ていた、という話を加えただけ。

何で現代かというと、フィラデルフィア計画を指揮した科学者が、1984年にネバダ砂漠で同じ実験をやったことで時空が繋がってしまったから。

よくあるパターンですが、設定としては整合性が取れていて、違和感はありません。

 

話の展開も比較的無理なく、そしてソツなく進んでいくので、ストレスはないです。

当然、大作風味はゼロの、バリバリB級作品。

謎あり、アクションあり、恋ありと娯楽の要素を揃ってます。

ちょっと主人公がジコチューになりがちなところは気になりますが、それも後半には収まります。

 

そう言えば主人公が84年のテレビでレーガン大統領を見て、「こいつは役者だよな?これはドラマか?」みたいなセリフを言います。

これは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に出てくるシチュエーション(1955年にタイムスリップした主人公が現地で会った男に「未来の大統領はレーガンだ」って言って「役者が大統領?」と信じてもらえない)の逆パターンですが、こっち映画の方が1年早く制作されてます。だからと言って「バック・トゥ・ザ・フューチャー」より上ってことはないんですけど・・・

 

主演にマイケル・パレ

同じ84年に公開されたカルト映画「ストリート・オブ・ファイヤー」(この映画も何度も見ちゃいます)でもハードボイルドな主人公を演じ、日本で一躍スターになりました。

ぶっきらぼうの男臭いヒーローを演じるとサマになります。

ただしマイケル・パレは84年以降ヒット作がなく、いつまでも代表作はこの二本とされてます。でも調べたら、その後もB級アクションスターとして俳優を続けてたらしいです。ちょっと安心。

 

ヒロイン役はナンシー・アレン

この人はどの映画でも可愛いです。僕の大好きな女優さんの一人。顔が可愛いというより、存在が可愛い。事件に巻き込まれ、必死になって、そして愛する主人公を助けようとする普通の女性を演じさせたらピカイチです。

デ・パルマ監督の「殺しのドレス」と「ミッドナイトクロス」の彼女も可憐でした。特に「ミッドナイトクロス」は主演のジョン・トラボルタ共に最高のキャスティングだったと思います。

 

この二人をはじめ、役に合っている役者さんを配役しています。

 

さて、この映画はジョン・カーペンターは監督していません。

彼は製作総指揮で、別の人が監督しています。

 

何故、「カーペンター映画」になったかというと、この時代ジョン・カーペンターは神だったからです。特に僕らのようなボンクラSFヲタクには。

「ハロウィン」でヒットを飛ばし、ゲーム「メタルギア・ソリッド」の元ネタにもなった「ニューヨーク1997」というカルトSFでマニアを喜ばせ、「遊星からの物体X」でSF史に名前を刻み、世界中にカーペンター信者が山ほど生まれました。

(それで彼のデビュー作「ダークスター」がカルト映画に祭り上げられるわけですが)

 

この頃の彼は、B級映画を作らせたら右に出るものがいない男だったのです。

今から思えば「B映画の巨匠」って日本語おかしいですけど。

 

この映画、最初はジョン・カーペンターが監督するって情報が流れてきたんですが、途中で製作総指揮になったんです。

それでも日本の配給会社は「ジョン・カーペンター総指揮!」と彼を全面に押し出してマーケティング

まるで彼の映画のように宣伝することで、僕らボンクラを映画館へと誘ったのです。

 

実際に話の内容は彼っぽいし、画面作りもめっちゃB級臭漂うジョン・カーペンター風、そして所々にある強引な展開も彼の映画に似てます。

クライマックスなんて主人公がミサイルに乗って、異次元空間に浮いてるエルドリッジ号に乗り込むんですよ。

凄いでしょ?

まさにカーペンター印

そもそも大作風味はゼロの、バリバリB級作品って彼の代名詞ですもんね。

だから個人的に、この映画はジョン・カーペンターの映画で良くない?」と思ってます。

 

最後に都市伝説の「フィラデルフィア計画」ですが、完全に架空のお話だとか。

この話は第二次世界大戦中にフィラデルフィア海軍造船所で働いていた二人の大御所SF、アイザック・アシモフロバート・A・ハインラインが休憩時間に考えた話だったみたいです。それが漏れ伝わって「都市伝説」に変わったそうです。

 

ちなみにこの映画は続編も、リメイクもあります。(どちらも未見)

意外と人気だったみたいですね。

 

この映画も市販のDVDは廃盤、サブスクでもないんじゃないでしょうか。

僕はこれもレンタルDVDで見直しました。