封切時に見た時は、かなりガッカリした映画として記憶されてる「ゴーストバスターズ」(1984)
1985年の正月映画はこの映画と、「グレムリン」(1984)と「ゴジラ」(1984)というSF/ファンタジー映画が目玉でした。
当時購読していたSF雑誌スターログでも、この映画と「グレムリン」は、公開前から何度も取り上げられていたこともあって、特撮が凄いホラーコメディ大作だっていうイメージが出来てたんです。
でも映画館から出た時は「あれ?」って感じ。
悪い出来ではないけど、期待値以下。
大作かと思ったら、軽い娯楽作だったなー、そんな印象でした。
そんな記憶もあって、二回目見たいという食指が全く動かず、初公開から40年間、テレビ放映時に片手間でチョロ見する程度でしか見返したことがありませんでした。
しかし最近見直して思いの外面白かった「パラダイス・アーミー」(1981)が、この映画と同じスタッフとキャストだったので、今回見直してみることにしました。
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(あらすじ)
大学で怪しげな超常現象を研究しているボンクラ3人組。大学から追い出されてしまったことをキッカケに、お化け退治の会社を立ち上げる。これが見事にハマり大盛況に。そこに超常現象に悩まされる美女から依頼が来た。実は彼女に取り付こうとしているのは、復活を企む大魔神だった・・・
見終わった後の感想は「当時の僕の期待値が異常に高かったんだろうな~」ということ。
だって普通に面白かったから。
本当に普通に丁寧に作ったライトコメディでした。
ノリはまさに「パラダイス・アーミー」と一緒。
とっぴもない笑いはないんですよ。
見ている方が予想出来る展開ばっかりと言っても過言ではありません。
でも、それでいいんです。
これは町の食堂の定番定食と同じ、期待したものを期待した通りに出してくれる映画。
だから公開時の失敗は、街の定食屋に、ミシュラン星3つのフレンチレストランを期待した僕に問題があったってことです。
ちょこちょこ伏線を張りながら(といってもコメディなので、観客にはこれ、伏線になるな!っバレバレなんですけどね)、役所の横やりや、変な恋愛劇を交えるという小ネタを絡ませながら話は進んでいきます。
それでも物語はちゃんと魔王復活というハラハラさせる部分は失わずに進んでいくんです。
この手のコメディ映画って、幹となるプロットを如何に生かしながらギャグを作っていくか、が命だと思うんです。
この映画だと魔王復活。
この復活劇が同時に進んでいくんですね。
このメインプロットは外しません。
ネタは、あくまでもこのメインプロットのためにキャラを引き立たせるものばかり。
これが本筋とは関係ないネタばっかりだと、映画としてとっても散漫になっちゃうし、一本の映画としての魅力がなくなっちゃいます。
失敗の典型例が、このブログでもレビューした「ホリデーロード4000キロ」(1983)。
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ちなみに「ホリデーロード4000キロ」の監督は、この映画の脚本・主演のハロルド・ライミス。どこで間違っちゃったんだろ?
ラストのマシュマロマンは馬鹿馬鹿しいけど、インパクトはあります。
映画見終わったあとに、頭に残るという意味では正解でした。
勿論、歴史に残る大作でも、超豪華作品でも、スーパーな傑作でもありません。
でも見終わって、素直に「あー、楽しかった」と言える映画でした。
きっとこの映画を嫌いになる人は少ないんじゃないでしょうか。
さて、この映画の魅力の一つは適材適所の配役。
主演の3人組ビル・マーレイ、ダン・エイクロイド、ハロルド・ライミスの組み合わせがいいですね。
ビル・マーレイは「パラダイス・アーミー」と同じ真面目の欠片もない、ボンクラのお調子者。
彼が真面目になる時は、裏で良からぬことを企んでいるか、物語のクライマックスか、のどちらか。
この映画の共同脚本家でもあるダン・エイクロイドは真面目だけど、なんか調子が外れちゃうドジ男。
でも最後にはシャキっとするのは彼の得意な役で、「大逆転」(1983)の大富豪も似たような役でした。
大傑作「ブルース・ブラザーズ」(1980)の主人公とはまた違った味わいがあります。
この人は「ブルース・ブラザース」の脚本も手掛けており、優れたコメディ脚本家でもあります。
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もう一人の脚本家も兼ねるハロルド・ライミスは真面目なんだか、不真面目なんだか、最後まで分からない、沈着冷静なキャラ。
こちらも「パラダイス・アーミー」でも役柄に似てます。
僕は個人的には彼のキャラが好きなんですが、彼の本業は監督/脚本なので、こんなにキャラが立ってるのに、実は出演作があまり多くありません。
そんなドジで変人という共通点がありながら、3人それぞれが個性的に見えるキャスティングだったと思います。
ヒロインを演じるのは、「エイリアン」シリーズのリプリー姉さんこと、シガニー・ウィーバー。
ビル・マーレイの強引な口説きをかわしつつ、最後はどこか許してる余裕のある、気の強いキャリアウーマンがピッタリ。これもナイスキャスティングです。
そして最後は、僕が勝手に「自分のダメさ加減に全く気が付かないダメ男を演じたら80年代随一」とリック・モラニス。
もう観客が期待するベタな展開を、ちゃんとベタな感じで演じて笑わせてくれます。登場人物の中で、一番直接的にコメディを感じさせるキャラで、僕は大好き。
「ゴーストバスターズ」と言えば、レイ・パーカーJrが歌った主題歌が、バカみたいにヒットしました。
まさに80年代を代表する一曲。
(でも、僕はあまり好きではないんですが)
ちなみに、この曲は盗作騒ぎになっています。
盗作された!と訴えたのか、やはり当時大人気を誇っていたヒューイ・ルイス。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1985)の主題歌「パワー・オブ・ラブ」(全米1位)で有名ですね。
彼が「ゴーストバスターズ」より半年前に出した「アイ・ウォント・ア・ニュードラッグ」が下敷きになってるとか。
確かに似てるかも。
Wikipediaによれば、映画の製作者が、本当は主題歌に「アイ・ウォント・ア・ニュードラッグ」を使いたかったんだけど、ヒューイ・ルイスに断られたから、レイ・パーカーに似た曲を依頼したんだとか。
本当なら、それは盗作って言われますよね。
新品のDVDはお手軽な値段で手に入るようです。