パグ太郎の<昭和の妖しい映画目撃者>

昭和の映画目撃談&時々その他いろいろ

【ハロウィンⅡ / ブギーマン (1981)】殺人鬼は走らない

以前、オリジナル版の「ハロウィン(1978)」(1978)を貸してくれた我が家のホームドクターが一緒に貸してくれたのが、正統な続編「ハロウィンⅡ(オリジナル版)(1981製作/1982日本公開)。

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劇場公開時のタイトルは何故か「ブギーマン」でしたが、商品化の時に原題と同じ「ハロウィンⅡ」に改題されました。あれ、でもまたBlu-rayは「ブギーマン」になってるみたいですね。どっちなんだろ?

 

「ハロウィン」がジョン・カーペンター作品なのに、意外とちゃんとしてる」映画でした。

さて続編はどうなんでしょうか?

 

(あらすじ)

ハロウィンの夜に惨劇を引き起こした殺人鬼マイク・マイヤーズは6発の銃弾を浴びたにも関わらず姿を消し、殺人を繰り返していた。そして彼は主人公が収監されている病院に忍び込んでいた。片や彼が生きていることを確信しているマイヤーズ医師は、彼を探し回っていた・・・


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「ハロウィン(1978)」同様に、カーペンター好きなのにこの映画も見たことがありません。

 

で、今回見た感想は・・・

 

びっくりするぐらい薄っぺらい。

 

登場人物は全員薄っぺらい。

話も薄っぺらい。

全てが薄うっぺらいんです。

 

ここまで中身のない映画はなかなかありません。

 

まず出演者は、頭の緩い感じの看護婦だったり、いつもちゃらけてる救急隊員だったり、とB級映画のお約束設定の登場人物が出てきますが、どれもビックリするぐらいあっさり殺されちゃいます。

キャラの掘り下げもなければ、見せ場らしい見せ場もなし。

 

看護婦と救急隊員が、夜勤の合間に病院のリハビリ用の風呂に入ってイチャイチャしてる時に殺されるという、お約束エピソードがあるんですよ。

犠牲者の中で唯一ちゃんとしたエピソード(笑)なんですが、看護婦が夜勤中にサボって彼氏と院内の風呂って、B級映画だとしてもちょっと不自然過ぎ。

これってB級映画らしくおっぱいポロリを見せつつ、殺さなきゃいけないんで、手取り早く強引なシーンにしたんじゃないかって疑ってます。

一番長いエピソードでこれなので、あとも推して知るべしです。

 

ちなみに看護婦が熱湯に顔を押し付けられて、火傷&溺死なんですが、これって元ネタは「サスペリア2」(1975)???と思いました。

 

さて、主人公は前回に引き続き「女子高生に見えない」ジェイミー・リー・カーティス(当時23歳)ってことになってますが、ほとんどセリフがありません。終盤に殺人鬼に追われてる時に「助けて~」と言うぐらいです。

それだけではなく、ほとんどのシーンでベッドに横たわってるだけ

そんな役なのに、この映画で数少ない存在感のある登場人物っていうのが驚きです。

 

もう一人の主人公が、やはり前作から殺人鬼を追っている医師ルーミス。

演じるのはB級映画のスター、ドナルド・プレザンス

この人、「007は二度死ぬ」(1967)の悪の親玉ブロフェルド、「悪魔の植物人間」(1974)のマッドサイエンティスト、「ニューヨーク1997」(1981)の大統領と、大物役(?)が多いです。

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この映画のルーミス医師は、正義感と責任感はあるけど、ちょっと行き過ぎちゃうキャラ。

殺人鬼と勘違いして、銃を振りかざして追いかけた高校生が事故死しちゃっても、「なんだ、犯人じゃなかったのか!早く犯人を捕まえねば!」程度で後悔も反省もナシ

こんなキャラでも、この映画では存在感があります。

 

ちなみに新キャラとして主人公に勝手に片想いする緊急隊員が出てきます。

絶対安静の彼女に部屋に勝手に入るわ、「俺が君を守るから」といいつつ、何もせず転倒して気絶するわ、挙句の果てに一人で逃げようとするわ、そのまま「もうダメだ」って気絶(絶命?)するわ、で、存在そのものが薄っぺらい上に、ギャグです

普通、主人公を好きな男性って、もっと見せ場がありますよね?

そもそも何でこういう人物を登場させたのか不明です。

 

要は、殺人鬼のマイク・マイヤーズも含め、前作の登場人物以外はお飾りだってことです。

 

何故ならそれは、この作品が「マイク・マイヤーズがひたすら殺しまくるだけ」の映画だから。

そのため新たな登場人物は「彼に殺されるために作られた」キャラと言っても過言ではないです。

ただ殺されればいいので、リアルに描く必要も、ドラマを作る必要もなく、大切なのは殺される数だってこと。

 

だからこの映画にドラマを期待してはいけません。

謎なんてありません。

反対に無駄なドラマが一切ないので、割り切って「超鬼ごっこ」だと思えば、飽きません。

ある意味、凄いことです。

 

さて、その超鬼ごっこですが妙に気になったことが。

 

それは殺人鬼マイク・マイヤーズが執着する主人公を追い詰める時に絶対に走らないこと。

 

いや、B級映画のお約束だってわかってるんです。

 

でもね、今回の主人公は怪我人で、足を引きずってるんですよ。

ちょっと走れば簡単に追いつけます。でも絶対に走らない。

他の犠牲者は容赦なく殺してるんですよ。

 

見ている方がモヤモヤします。

 

まぁ、興行プロレスの「お約束」だと思えばいいんですけど。

(相手を抑え込みカウントダウンできるのに、観客を煽ったりして、カウントダウン取らないやつ)

 

この映画ではジョン・カーペンターは脚本と音楽、製作だけで、監督はしていません。

それでもこの映画は、どこから見てもB級の王道、ジョン・カーペンター映画でした。

 

特に彼が作曲したテーマ曲が流れると、「ああ、ハロゥインだなぁ」と思います。

他の曲もカーペンター節全開。

Halloween Theme - Main Title

Halloween Theme - Main Title

  • provided courtesy of iTunes

 

個人的な結論なんですが、カーペンターの音楽と殺人鬼マイク・マイヤーズジェイミー・リー・カーティスさえいれば、だれが監督しようが、どんな話だろうが、いや話ななんてなかろうが「ハロウィン」になるってことでいいですかね?

 

最後にプチネタですが、前作では劇中のTVで放送されている映画は「遊星よりの物体X」(1951)でしたが、今回は超カルトゾンビ映画「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」(1968)が劇中のTVで流れてました。

カーペンター監督、B級映画好き過ぎです。

 

「ハロウィンⅡ」は「ブギーマン」のタイトルでBlu-rayが入手できます。

(だからタイトル、どっちなんだ?)