パグ太郎の<昭和の妖しい映画目撃者>

昭和の映画目撃談&時々その他いろいろ

【原子力潜水艦浮上せず】迷いのない、男たちのサスペンス映画

ちょっと前にレビューした「ジェット・ローラー・コースター」(1977)と同じく、70年代によくあった渋いサスペンス娯楽作原子力潜水艦浮上せず」(1978)。

とっても直球なタイトルです。

 

初公開時に岐阜のピカデリーという劇場で見たんですが、とっても満足した記憶があります。

それ以来、一度も見てなかったこの映画のDVDが格安で売られていることを発見。

早速購入して見てみました。

さて、当時の感想は正しかったのでしょうか?

(あらすじ)

米軍の原子力潜水艦ネプチューンは航海中に、貨物船と衝突。エンジンルームが浸水し、動力を失ったまま沈んでしまう。多くの乗組員を失ったものの、艦長以下なお数十人が艦内に残されていた。助かっていた。潜水艦の沈没を知った海軍は、救助を試みようとするが、そこは水深500メートルの海底だった・・・


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渋いですね。

本当に渋い映画です。

 

とにかく男たちのドラマです。

ヒロインなんて出てこないどころか、言えばセリフのある女性が皆無。

軍隊モノとは言え、現代なら女性士官が活躍したり、主要登場人物の奥さんや恋人の話が出てきたりして、女性ゼロってありえないと思うんですよね。

トップガン マーヴェリック」(2022)もそうだったし。

 

そういう意味で、この映画は今だと「差別的」って言われちゃうんでしょうか?

 

でも、そんなことが全く気にならないほど、飽きない作品です。

 

話も現代ではありえないぐらいストレート。

最近のドラマだと、事故を隠蔽しようとする上層部や、救出活動を利用しようとする政治家や企業が出てきたりしますが、この映画にそういう「ヒネリもの」は出てきません。

そしてこの映画には悪人も出てきません。

 

原潜の乗組員はお互いに助け合い。イライラすることがあっても、私利私欲をむき出しにすることはありません。

救助部隊も意見の違いはあれど、全員が何とか救助したいという思いは揺るがず、打算で動いている人はいません。

他のパニック映画なら、勝手に脱出しようとする乗組員とか出てきそうなんですけど、そんな人はいません。

 

途中で深海潜水のプロである大佐(デヴッド・キャラダイン)が相棒(ネッド・ビーティー)と自分達が設計した深海潜水艇に乗ろうとすると、司令官がネッド・ビーティの代わりに自分の部下を乗せようとするんです。

これ、自分の立場を示すための嫌がらせか?と思ったんですが、実は部下が事故近海の海流に詳しいからだったから。

 

唯一、「悪者?」と一瞬思ったのが原潜の副長。

衝突事故が起きたのは艦長のせいなんじゃないか?俺はどんなことがあっても生還する!と周りに八つ当たり気味になるキャラなんですよ。

まぁ、死亡フラグは確定キャラだと思ってたんです。

きっと一人で暴走して、それが原因で死ぬんだな、と勝手に想像してました。

 

ところが、終盤に水が艦内に入ってきた時、浸水する指令室に残って「艦長、私がこちら側から扉を閉めます。お元気で」と、防水扉を閉めるんですよ。

彼も漢でした。

 

最初から最後まで徹頭徹尾、男たちが沈んだ原潜から乗組員を救助するのに全力を尽くす、ただそれだけの映画なんです。

見ている側は救助以外の余計な心配をしなくてよいので、救助に全集中出来ます。

一切迷いのない映画です。

 

原子力潜水艦浮上せず_パンフレット表紙

 

沈没した原潜の艦長を演じるのは、往年の大スター、チャールトン・ヘストン

この頃は旬は過ぎていましたが、珍しく髭を生やした姿は、有能なベテラン艦長が似合っています。

ただ出している指示は「ひたすら救助を呼び続けろ」とか「医師が死んだから、怪我人の面倒 は医療の覚えがあるお前がやってくれ」と言った、比較的凡庸なものばかり。人望もあるんだか、ないんだかビミョーな感じです。

でも彼が主演したSF「ソイレント・グリーン」(1973)の主人公よりは、共感出来るキャラでした。

 

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この映画をさらったのは、デヴッド・キャラダイン。

深海潜水のプロであり、男気もあるかっこいいキャラを演じています。

最後に原潜の救助を見届けるため、一人で潜水艇に乗っていくんですよ。

そして、涙、涙の展開が。

 

司令官が「脱出しろ!」と無線に呼び掛けるのを、一緒に潜らなかった相棒が「もう聞こえてませんよ」と沈痛な表情で言うシーンがぐっときました。

その隣では、やはり今回の救出でデヴッド・キャラダインと一緒に潜った士官も悲痛な表情をしてるのが印象的でした。3人でワンチームになってたんですね。

 

デヴッド・キャラダインと言えば、僕的にはカルトSF映画「デスレース2000年」(1975)の主人公フランケンシュタインですが、その次ぐらいに、この映画の彼はカッコ良かったです。

 

あとクリストファー・リーヴが司令官付の士官の役で出演してます。

モノの本だと「ちょい役」と書かれてましたが、セリフもそこそこあり、ちゃんとした役だったし、そつなく優秀な士官を演じてました。

「デストラップ・死の罠」(1982)の時にも書きましたが、本当に芸達者な人だったんだなぁ、と思います。

 

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これだけストレートな話を楽しませてくれる映画って、今は少なくなりました。

先日レビューした「ジェット・ローラー・コースター」と合わせて、サスペンス映画好きの人には見てもらいたい一本です。

 

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Blu-rayもDVDもお手頃に入手出来ます。