パグ太郎の<昭和の妖しい映画目撃者>

昭和の映画目撃談&時々その他いろいろ

【ラビリンス/魔王の迷宮】ゲストスターを迎えたマッペットショーTVスペシャル

何度も書いてますけど、僕はデヴィッド・ボウイが好きなんですね。

だから、彼の映画もチェックしてます。

彼が出ている映画って、純粋な娯楽作よりも、ちょっと文芸作っぽさがあるものが多い気がします。「地球に落ちてきた男」(1976)とか「ジャスト・ア・ジゴロ」(1978)「戦場のメリークリスマス」(1983)や「ハンガー」(1983)。

そんな中で異彩を放ってるのが「ラビリンス/魔王の迷宮」(1986)。

デヴィッド・ボウイが魔王を演じるファンタジー映画。

気になりますが、見たいような、見たくないよいな。

意を決して、見てみることにしました!

 

(あらすじ)

継母に留守番をいいつけられたヒロインは、泣き止まない赤ん坊の異母弟を「ゴブリンの国に連れ去って!」と呪文を唱えると、本当にゴブリンの魔王が現れて、弟を連れ去ってしまう。慌てたヒロインに対し、魔王は時間内に迷宮を抜けて、城までたどり着けたら弟を返してやろうと、約束する・・・


www.youtube.com

うーん、なんて言ったらいいんでしょう。

テレビ番組のスペシャルみたいな映画でした。

 

デヴィッド・ボウイと、ヒロインのジェニファー・コネリー以外の登場キャラはほとんどマペット。操り人形ですね。

このマペットの造形で操演を担当しているのは監督のジム・ヘンソン

セサミストリート」や「マペットショー」を作った人です。

人形界の第一人者ですね。

とにかく「え?これ本当に人形なの?」って驚くぐらい表情豊かで、いろいろな動きをします。

(実際は人形操演ではなく、アニマトロにクスなんですが)

これは一見の価値あり。

 

ちなみにフランク・オズ(こちらも人形操演界の巨匠。「スターウォーズ」シリーズのヨーダの操演で有名です)が、一部のキャラで操演をしているようです。

 

さて、はっきり言いましょう。

 

出来は60点です。

 

とにかくデヴィッド・ボウイが浮きまくり

まず衣装が似合ってない。

コスプレレベルです。

(プロのコスプレーヤーではなく、学際とかで生徒がやるやつ)

 

更にキャラ作りがイマサン。

これは脚本のせいだと思うんですよ。

そもそも部下が小さいゴブリンしかいないので、威厳はありません。

それもいつも騒々しくて、頼りない感じばかり。

これじゃ、幼稚園児を集めて、いばってる小学生にしか見えません。

 

時々、ヒロインの前に登場しては、いろいろ難題をふっかたり、意地悪をするんですが、どれも本気で邪魔してるように見えません。

その挙句、ヒロインの「私のものになれ」・

 

あれ?そういう話だっけ?

 

元々はヒロインが、泣き止まなくて手を焼いてる異母弟をゴブリンに連れ去って」って呪文を唱えたから、魔王は「もうあの子供は私のものだ。取り返したかったら迷宮を抜けて私の城に来い」って話だったハズ。

 

もうめちゃくちゃ適当です。

 

いかにもバラエティ番組っぽい展開。

不思議なクリーチャーはたくさん出てきますが、肝心の魔王のキャラがこれじゃ、ファンタジー感はありません

せっかくデヴィッド・ボウイに魔王を演じさせてるんだから、これじゃダメでしょう。

 

ポスターは上品なファンタジー感覚満載。

せめて、魔王の配下に凄く強い部下がいて、彼がそんな奴を配下に置くぐらい強いんだぞ、っていう演出が欲しかったですね。

 

ラビリンス 海外版ポスター

まぁ、この映画はマペット Meets デヴィッド・ボウイスペシャルゲスト:ジェニファー・コネリーっていうデヴィッド・ボウイをゲストに招いたマペットのTVスペシャルってことでしょう。

彼の歌や「なりきり」演技を楽しむ番組。

対象は子供じゃいかと思いますが、まさかこれで大人も対象って言うなら、噴飯ものです。

 

デヴィッド・ボウイはこの映画のために5曲書き下ろしてます。

主題歌である「Underground」は冒頭から流れます。

正直、彼の曲の中ではイマイチな気がしますが・・・

 

要所で彼の曲が流れるので、まさに<デヴィッド・ボウイ・ショー>。

 

そもそも迷宮ってなってますが、どっちかとうとテーマパークによくある迷路に近いですね。

そのところどころに門番がいたり、変なクリーチャーがいたり、といった仕掛け。

正直、迷宮といってもオドロオドロシさは全くありません

だから緊迫感は「決められた時間」だけかも。

 

繰り返しになりますが、マペット(クリーチャー)は魅力的なだけに残念。

 

ちなみにジム・ヘンソンと言えば、この映画の4年前に「ダーククリスタル」(1982)という超傑作人形映画を作ってます。

こちらはマペットのみが出演する映画ですが、完成度がめちゃくちゃ高いんです。


www.youtube.com

 

そんな映画を作った後に、これかー、って思います。

セサミストリート」みたいに人とマペットの融合を狙ったんでしょうか。

この映画は完全に人を出演させたことが、仇になってます。

ダーククリスタル」と比べれば一目瞭然。

 

そう言えば「ダーククリスタル」の前日談が、2020年にNETFLIXで配信されてます。

(日本でも視聴出来ます)

 

Blu-rayやDVDは手頃な値段で入手出来るようです。