「ハロウィン」(1978製作/1979日本公開)
ジョン・カーペンター監督の出世作。
ジョン・カーペンター好きを自認してるのに、実はこの映画もキチンと正座して最初から最後まで全編通して見たことがありませんでした。
エセファンですね。
ごめんなさい。
今回は行きつけの歯医者さん(同世代のヲタク仲間)に「ハロウィン、ちゃんと見たことないんですよ~」って話したら、次の診察の時に1~3まで貸してくれました(笑)
やっぱりホームドクターにちゃんとしたお医者さんを選んでおいて良かったと実感してます。
(あらすじ)
ハロウィンの夜に姉を殺して、精神病院に入れられたマイケルは、15年後に脱走する。そして自分がかつて住んでいた町に戻り、女子高生の主人公やその友達をつけ狙う。そしてハロウィンの夜、マイケルは彼女たちを襲い始めた・・・
カーペンター監督のメジャーデビュー作ってことですが、これがびっくり。
なんと、彼のトレードマークである「安っぽさ」がないんですよ。
画面作りもしっかりしてるし、あまり「えー、なんでそうなるの?」っていう展開もない。
え?これ、本当にカーペンターの作品?って思っちゃいました。
(だからといって、超名作という意味ではない)
きっと、メジャーデビュー作なんで、趣味を自制して、客観的にきちんとしたものを作ろうっと思ったんでしょう。
思い返せば「遊星からの物体X」(1982)や「スターマン/愛・宇宙はるか」(1984)には予算なりの質の高さがあり、「ニューヨーク1997」(1981)もメジャー感はなかったものの、適当なところはなかったので、実はちゃんとやれば出来る人なんですね。
言い換えれば、好きに任せすぎるとダメってことかもしれません。
話はとってもシンプルでストレート。
ハロウィンの夜に、殺人鬼が主人公の周りでウロウロして、友達を殺していくだけ話。
この手の殺人鬼モノの教科書みたいな作りで、ひねりはありません。
想像した通りに話が進行するので、今の視点で見ると食い足りないかも。
そういう意味で、現代殺人鬼モノの古典と言えます。
ただ現代殺人鬼モノの古典だからといっても、血がドバドバ出たり、首や腕が飛ぶような残酷な場面を直接見るようなシーンはほとんどありません。
その辺りは後のスプラッター系とは一線を画しています。
また本作は殺人鬼のハロウィンマスク姿と無敵ふりから、ホラー映画に分類されてますが、冷静に考えたらただのサイコキラー話なので、ジャンルとしてはスリラーが正しいんじゃないでしょうか。
さて、この映画の見所の一つは、後に「絶叫女王」の異名を取るジェイミー・リー・カーティスがスリラー映画にデビューしたことですね。
勿論、殺人鬼に追い回される主人公(女子高生)の役です。
ただね、女子高生には見えないんてすよ。
最初、画面に出てきた時は高校の先生かと思いました。
正直、演技はぎこちないですが、さすが絶叫しながら逃げ回る姿はさすがにサマになってます。
でもやっぱり女子高生には見えません(キッパリ)
当時20歳なんで、そんなに高校生年代から離れてるわけじゃないんですけどね~。
ハロウィンの夜が舞台ということで、TVでは昔のホラーやSF映画を放送してるんですよ。
昔は日本でもお盆の時期になると、子供向けにお化け映画を放送してたのと同じですね。(これを知ってる人は絶対に40歳以上)
で、この映画の中でも子供たちがTVでSF映画を見てるんですが、それがホラーSF映画の金字塔「遊星よりの物体X」(1951)なんです。宇宙人が襲ってくる話なんで、殺人鬼マイケルが襲ってくることを暗喩するモチーフになってるんですが、しつこいぐらいに「遊星よりの物体X」を出すんですよ。
ここはカーペンター監督の趣味全開ですね。
「遊星よりの物体X」への愛が溢れています。
結局、その愛が止められなくて、後年に「遊星よりの物体X]のリメイク、「遊星からの物体X」(1982)を作るんですけど。
(これはカルト的超名作です。是非、いつかレビューしたいです)
さてカーペンター監督と言えば、「自分の映画の音楽は、自分で作曲」。
この映画でも、勿論音楽を担当しています。
いつものシンセサイザーを使った、いつも同じに聞こえる音楽ですが、いい味を出してます。(贔屓目でしょうか)
DVDは普通に入手出来るようです。