パグ太郎の<昭和の妖しい映画目撃者>

昭和の映画目撃談&時々その他いろいろ

【狼男アメリカン】コメディとシリアスの狭間でフラフラ

今回は狼男アメリカン(1981製作/1982日本公開)。

前々回が「カリギュラ」(エロ)→ 前回が「キャットピープル」(エロ/変身)、ということで今回は「狼男アメリカン」(変身)にしてみました。連想ゲームです。

81~82年の変身物三作目です。

 

(あらすじ)

アメリカ人の二人組がイギリスの田舎を旅行中、狼らしきものに襲われる。ロンドンの病院で目が覚めた主人公は、自分は一命を取りとめたが友人は死んだことを知らされる。そして彼の元に死んだはずの友人が現れ、「お前は人を殺すことになる。その前に自殺しろ」と忠告をする・・・

 


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監督はコメディ監督として評価の高かったジョン・ランディス

この映画の前に「ケンタッキーフライドムービー」「アニマルハウス」で注目され、「ブルースブラザーズ」で大ヒットを飛ばした頃でした。

だからこの映画も抱腹絶倒のコメディホラーを期待してたんですよ。

パンフレットの表紙も明らかにコメディーですよ、って売り方をしてます。

 

狼男アメリカン パンフレット表紙


これを見たら、コメディホラーに疑いを抱かないですよね?

勿論、封切時に映画館に見に行きました。

 

で、映画館を出る時の感想は、

 

ビミョー

 

その一言です。

つまらなくはないんです。

でもコメディでもなく、シリアスドラマでもなく、ホラーでもない、フラフラっとして過ぎていく90分間。

日本の宣伝会社に騙されたとは思いませんでしたが、明らかに心の中には納得のいかない気持ちがあるんですよ。

 

そんな感想を検証するために40年ぶりに見ました。

 

結論から言うと、高校生の時の感想は間違っていませんでした。

 

確かにクスっと笑えるシーンもありました。

それのほとんどが亡霊たちが出てくるシーン。

特に亡霊になった友達は、見た目がどんどん腐っていくのに、シニカルな冗談を言うのがツボでした。

しかしその他の登場人物は誰一人として観客を笑わせようとはしません。

亡霊たちがいない場面は、普通のホラーテイストのドラマ。

だからコメディー映画っていう感じがしません。

分類すればちょっと笑えるシーンのあるホラー映画?ってことになるんでしょうか。

 

じゃ、そのホラー部分はどうかって言うと、これが話の展開も含めて超フツー。手堅く、飽きないようには出来てますが、驚きはゼロ

勿論、怖さはありません。

よっぽど超B級の「バーニング」(1981)の方が怖いです。

 

pagutaro-yokohama55.hatenablog.com

 

ネタバレ的にこの映画の話を要約すると、

 

「イギリスの田舎で狼男に嚙まれちゃって自分も狼男になりました。満月の夜にロンドンで暴れて、最後は警官隊に撃たれて死んじゃいました」

 

ホント、これだけ。

あとは田舎の人たちは狼男がいることを知ってるのに、ひた隠しにしてるとか、ロンドンの医者が狼男のことに気づいて調査するとか、そういうエピソードがつけられてるんですが、そんなに大した話じゃありません。

 

なんでこんなシンプル過ぎる話のまま映画化しちゃったかなぁ?と思うぐらいヒネリもないです。

見終わった直後の感想は「え?もう終わり?」です。

この印象は当時も今回も変わりませんでした。

 

この映画の目玉は大御所リック・ベイカーが担当した変身シーン。

実はこの映画の直前に、忙しいんで弟子に仕事を回した「ハウリング」が、衝撃的な狼への変身シーンをやっちゃたんですよ。

 

pagutaro-yokohama55.hatenablog.com

 

師匠としての立場ってあるじゃないですか。

「あいつの変身シーンが暗闇の中でなら、俺は堂々と明りの下で狼男に変身させてみせる!」

と部屋の灯の下で変身する特撮シーンを撮り直しで作ったそうです。

 

当時は「おー、すげー、すげー」と思いましたが、今回じっくり見ると、編集で上手に画面を切り替えて目の前で変身しているように見せているんですよ。

ま、編集や構成を含めて「見せる」のが特撮なんでしょうけど。

大人になるって嫌ですね

(ちなみにアカデミー・メイクアップ賞を取ってます)

 

そんなコメディか、シリアスか、どっちつかずでフラフラしているうちにロンドンのピカデリー広場で狼が大暴れするラストシーンになります。

 

この頃のカデリー広場って日本企業のネオンサインがいっぱいあるんです。当時は日本は勢いがあったんですねー。

 

狼が暴れ回り、パニックになるピカデリー広場。

そこまで必要?っていうぐらいパニックで自動車がガンガン衝突します。

それに巻き込まれて無残に死んでいく人も多数出ます。

あ、事故の死に方にはちょっとコメディ入ってるかも。

 

そして最後は狼が警官隊に撃たれ、人間に戻ったところでブツンと終了。

本当にブツンって終わるんです。

大昔のホラー映画の唐突に「The End」って出て終わっちゃうのに似てます。(それを意識したのかも)

 

そしてエンドクレジットに何故か「チャールズ皇太子とダイアナ妃のご結婚をお祝いします」というテロップが出るんですよ。

ロンドンで撮影したから入れたのか、それともこれ自体がギャグなのか不明

 

これは僕の想像なんですけど、ジョン・ランディスは本格的に特撮を扱った映画だったので、それを楽しく見せることに集中した結果、映画自体がおろそかになっちゃったんじゃないんでしょうか。

それでも普通にダレない映画にしたのは、さすがジョン・ランディスの技量だと思います。

 

彼も特撮に拘ることに懲りたのか、この後は正統のコメディ路線に戻り、期待を裏切らない良作を連発しました。

「大逆転」や「スパイ・ライク・アス」「サボテンブラザーズ」は面白かったなぁ。

 

あと狼男映画だけあって、挿入歌が「月」関連が多かったのがおしゃれでした。

特に満月の夜にクリーデンス・クリアウォーター・リバイバルCCR)の「Bad Moon Rising」が流れるんですが、軽快な曲調と画面がマッチしてました。

 

ちなみにこの映画も二本立てで、同時上映はベルリンの麻薬中毒少女を扱った実録ものの「クリスチーネ・F」でした。

凄い組み合わせです。

でもこの映画でデビッド・ボウイのカッコよさを知りました。劇中で彼のライブ映像が流れるんですが、そこで聴いた「ヒーローズ」は今でも心の名曲です。

 

"Heroes"

  • provided courtesy of iTunes

 

狼男アメリカン」もAmazon Prime、Nextflix、U-Nextのサブスクでは見れないので、レンタルDVDで視聴しました。

新品のDVDは普通に手に入るようです。