マイケル・J・フォックスって、なんとなく個人的にハマる映画が少ないんですよ。
勿論、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1985-1990)シリーズは好きだけど、マニアになるほどハマらなくて、僕的には「とっても面白い映画」というレベル。
一応、「摩天楼はバラ色に」(1987)は面白かったし、「再会の街/ブライトライツ・ビッグシティ」(1988)はちょっとお気に入りだったりします。
あと「スチュワート・リトル」(1999)のアテレコも捨てがたい。
でも「彼が出演しているから見てみよう」ってことにはならなかったんです。
今回レビューする「ティーン・ウルフ」(1985製作/1986日本公開)も、マイケル・J。フォックス主演の一本。
映画館で観たことはあるんですが、この映画を観に行ったのではなく、たまたま別の映画を見に行ったら、同時上映だったってだけ。
(「死霊のえじき」(1985)のレビュー参照)
それも授業の都合で映画館に入ったら、もう半分終わってたので、実は全部観たことはなかったんです。
見ることが出来た後半部分も「なるほどねー」と思ったっていう薄い印象しかなく、「いつか全編通して見てみよう」という気持ちには全くなりませんでした。
そんな「ティーン・ウルフ」ですが、いつまでも中途半端なままではいけないと思い(?)、今回思いきって見てみることにしました!
(あらすじ)
弱小バスケ部に所属する高校生の主人公。チームは弱いし、憧れの女の子から相手にされないし、全く冴えない日々を過ごしていた。
ある日、体毛が長くなったり、人が聞こえない音が聞こえるようになったり、爪が伸びたりと、体の異常を感じるようになる。そして満月の夜、彼の体は一気に変化してしまう…
いやー、意外に面白かったです。
傑作という意味ではなく、飽きなかったという意味で。
そして何よりも狼男モノだと思ったら、実は青春コメディだったってこと。
普通、狼男になるのって話も中盤ぐらいじゃないですか。
それまでは何となく狼男になる予兆だけ見せておくのが王道。
なのにこの映画は早々に主人公が狼男になっちゃうんですよ。
更に普通はその後、狼男であることを隠しながら、凶暴化することに苦悩したりしますよね?
でもこの映画は、狼男になって運動能力が飛躍的に向上し、狼男のまま弱小バスケ部を勝たせていくんですよ。
そして狼男のまま登校して学園生活を送り、みんなの人気者になるし。
完全に想像の斜め上を行ってます。
学園のヒーローになったことで、それまでのダメっぷりから、完全に調子に乗り始める主人公。
憧れの美女が寄ってきたり、彼のTシャツっが校内で売られたり、反対にワンマンプレーでバスケ部で反感を買うようになったり、仲良しの女の子(主人公のことが好き)とギクシャクしたり、と完全に青春ドラマの王道です。

要はこの映画の「狼男」はネタでしかありません。
ダメ高校生が、身体能力が上がって、学園のヒーローになるきっかけであれば、別に吸血鬼でも、超人薬でも、何でも良かったんです。
「ダメ高校生が突然不思議な力を手に入れて、夢にまで見た学園の人気者になる」って、世界中のダメ中学生やダメ高校生が必ず夢想するシチュエーションですよね?
(あー、僕もそんな一人でした)
そういう意味で、先日レビューした「ウォー・ゲーム」(1983)に通じるものがあります。
でも、そんな世の中のボンクラ中二病の密かな願いを、楽しく観れるドラマに仕立て上げた脚本のジェフ・ローブとマシュー・ワイズマンは分かってるなぁ、って思いました。
調べたらこの脚本家コンビは、僕が大好きなアーノルド・シュワルツェネッガー主演の「コマンドー」(1985)も担当してたんです。
(「コマンドー」は面白くって、劇場公開時に二回見てます)
特に僕が好きなのは、主人公が自宅の浴室で初めて狼男になっちゃうシーン。
お父さんが「何だ、どうしたんだ!」ってドアを開けると・・・
ちょっとしたシーンですが、ツボでした。
更にそこに「弱小チームが頑張って奇跡を起こす」っていうアメリカ映画が得意なスポーツドラマを盛り込んでくるんですよ。
特にクライマックス。
分かっていても、盛り上がるんです。
まぁ、この頃には「狼男なんてどうでもいい」状態ですけど。
ラストの、憧れの美女をふって、主人公に片想いしていた女の子と結ばれるオチも「あるある」なんですが、「これでいいんだよね~」って思いました。
本当に痒いところに手が届く話作りになっています。
青春モノって「やり過ぎる」と見ているこっちが恥ずかしくなったりするんですが、この映画はその辺りもちゃんと上手に「美味しいところで止める」ようになっているので、安心して最後まで見られます。
そんなワケでこの映画は狼男だからと言ってホラー映画っていうより、狼男をスパイスに使った青春コメディ。
先日レビューした、同じ狼男+学園ものの「狼の紋章」(1973)とはえらい違いです。
分類としては、同じ頃に作られた「プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角」(1986)や「マネキン」(1987)に近いんじゃないでしょうか。
あ、主演のマイケル・J・フォックスは「いつものマイケル・J・フォックス」でした。
まさにこの映画で求められる、ちょっとボンクラな高校生をとっても自然体で演じてます。
っていうか、寧ろマイケル・J・フォックスを念頭に脚本を書いたから、こういうライトなコメディになったのかもしれません。
世の中によくある、だけど良く出来ている、軽い青春コメディと言っていいでしょう。
80年代青春コメディが好きな人なら楽しめると思います。
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