今回取り上げるのは「フレッシュゴードン」(1974製作/1978日本公開)。
<レ>の方です。
1980年制作の<ラ>の方もカルトですが、今回はよりカルトな<レ>。
いずれ<ラ>の方も取り上げますので、そちらのファンはしばしお待ちを。
(あらすじ)
惑星ポルノから地球に人々を淫乱にする光線が降りそがれた。それを止めるべく、アイスホッケー選手のフレッシュはたまたま知り合った女性と危機を予知していた科学者の作ったロケットで、惑星ポルノに向かうのであった・・・
古典冒険SFの名作「フラッシュゴードン」のポルノ版パロディです。
(もう一つのカルト作・80年の「フラッシュゴードン」は真面目リメイク)
まぁ、ポルノ版パロディと言っても、AVのようなものではなく、寧ろH度の高いバラエティといった趣です。
パロディなので、元のフラッシュゴードンのネタをポルノ風に改変してるんですが、これが小学生の発想レベル。
例えば、色情狂光線以外にも、惑星ポルノに向かうロケットがポコ〇ン型だったり、男性の乳首に特殊ダイヤをつけてオッパイビームを出したり、殺人ロボットが股間にドリルを付けてたり・・・
「がきデカ」(古い?)のノリに近いかも。
さて、この映画、<Space Wars>って副題が付いてるじゃないですか。
これ、日本で勝手につけたタイトルなんですよ。
この映画が公開された78年って日本で最初の「Star Wars」が公開される年なんです。
アメリカでは前年に公開になっていて、日本でも「Star Wars」公開が今か今かと待ちわびられてた時に、この映画が「フレッシュゴードン Space Wars」ってタイトルで公開されてるんですよ。それも「Star Wars」より先に。
明らかに便乗してますよね?
先に「Star Wars」のバッタモンを公開して、客を集めようって魂胆がミエミエ。
まさに昭和のパチモン商法です。
そもそもこの映画、「Star Wars」より3年前の1974年制作。これ自体は便乗映画ではないです。
これをパチモンに仕立て上げたのは日本の商魂逞しい配給会社。
ポルノパロディってことでお蔵入りした映画を、「大人的Hなシーン」を削ったり、がっつりぼかしを入れたりして再編集。
無理やり年齢制限なしの一般映画として公開してるんです。
まるでちょっとだけHなSF映画の体で。
昭和の時代、すげー
こんなポスターだったら、騙されますよね。
(よく見ると所々エッチ)
そんなワケで、実はこの映画、当時劇場で見てます。
「Star Wars」と何ら共通点のない、この映画を・・・
ちなみに同時上映は「喧嘩プロフェッショナル」。
明らかに目的は「喧嘩プロフェッショナル」ではなく、この映画でした。
(「喧嘩プロフェッショナル」がどんな映画だかサッパリ思い出せません)
過激なシーンはカットしてあったと思いますが、それでも中学生の僕は、かなり恥ずかしい思いをしました。
若かったなぁー(遠い目)
その後、30歳の大人になって、どうしてもまた見たくて、アメリカ旅行に行った時にビデオを購入。そして見た感想は・・・
思ったよりエロくないかも。
なんか現場だけが「これ、エロ面白くない?」って盛り上がってるのが透けて見えました。
あー、こんなもんだっけ、ということでビデオは倉庫行きに。
そして今回、改めてTSUTAYAでヘア解禁ノーカット版を借りました。
ちなみにAMAZON PRIME、NETFLIX、U-NEXT等のサブスクでは見つからず、国内版DVD/Blureyも新品は手に入りません。
思ったより、お金かかってるなー。
そして、思ったよりエロいなー。
でも、前回見た時よりエロさを感じるのは何故?
やっぱりノーカット版の方が過激なのかもしれません。カットされていたところがエロエロシーンばっかりだった可能性があります。
ちなみにノーカット版はオリジナルより12分長いみたいです。
今時のAV事情を鑑みると露骨な描写は少なく、軽いノリですが、やっぱり子供には見せられないです。
今の中学生なら大丈夫??いやいや、大人になってから見て下さい(笑)
とにかく話の2/3ぐらいは誰かが裸です。
またエロっぽいさも「ロッキーホラーショウ」のように観客をブラックに笑わせるための道具というわけでもなく、ただエロを安易にばらまいているだけ。
このバラまきかったて、ませた小学5年生が考えるレベルです。
(「フライングキラー」や「バーニング」の「おっぱいいっぱい」に近いかも)
話?あ、話はあります。それだけです。
演技?あれは演技です。学芸会よりは上手です。ノリノリの方も結構いるみたいです。
それ以上は聞かないで下さい。
そんなわけで全編に常に漂い続けるエロにそこそこ耐性がないとしんどいです。
何故ならそんな安っぽいエロを乗り越えなければならないほど、価値のある面白さがないから(笑)本当、全くないから。
今まで紹介した「イレイザーヘッド」や「ホーリーマウンテン」のような文芸系カルトと超対局にある脱力系カルトです。
僕のように究極にダメ映画を偏愛できる方のみにお勧めします。
ちなみに小ネタになりますが、実は特撮スタッフが何故か豪華。
当時のストップモーション・アニメ(人形を少しづつ動かして撮影するやつ)の第一人者ジム・ダンフォース。
さすがに恥ずかしかったのか、それとも洒落で参加したのか、クレジットは「Mij Htrofnad」(名前のスペルを逆向きに書いてある)になってました。
あとは、
「未知との遭遇」等の特撮モデル制作の第一人者、グレッグ・ジーン。
リック・ベイカーとグレッグ・ジーンは有名になる前とはいえ、凄いスタッフが集結したもんです。
しかし残念なことに、凄いスタッフが集まっているからと言って特撮が凄いかというと、ストップモーション・アニメ以外は70年代低予算超B級映画のレベルだなぁ、というのが正直な感想です。
みんな、楽しいバイト感覚でやってたんじゃないんでしょうかねぇ。
最後になりますが、大切なことだからもう一度書きます。
同時上映の「喧嘩プロフェッショナル」ってどんな映画だったんでしょうね?
(AmazonでDVDが売られててビックリ。超カルト映画「食人族」が入手困難なのに、この映画はすぐ手に入るってことは、人気映画だったんでしょうか・・・)