今回は超カルト映画「ホーリーマウンテン」(1973製作/日本未公開)
この映画を知ったのは、昭和も終わりでした。
キッカケは中学生の頃に、映画マニア雑誌で「日本未公開のエル・トポ(71年)っていうトンデモない映画があるらしい」というのを知ったことです。
その「エル・トポ」を見たのは、第二回東京国際ファンタスティック映画祭。
(あの「ダークスター」を初めて見た映画祭です)
その映画祭で初上映するというので、見に行きました。
いやー、エログロのオンパレード。「キリスト教劇」と言われてましたが、その雰囲気も感じられず、全くワケが分からないまま見終わりました。
その後、ビデオでも見たんですが、やっぱり分からないです。
問題は、<「エル・トポ」の監督が、「エル・トポ」より凄い映画を作ってたらしい>というのを知ってしまったこと。
それが「ホーリーマウンテン」でした。
(あらすじ)
錬金術師と新しいキリストの寓話。
(ごめんなさい。ストーリーは相変わらずアレな感じなので、興味のある方はWikipedia
を読んで下さい)
レンタル屋にあることは長年知っていたのですが、なかなか手が出ませんでした。
いつも悩んで挙句、普通の当たり障りのないB級映画を借りちゃうんですよ。
やっぱり、ほら、映画を見て楽しくなりたいじゃないですか。
保証付きで、この映画では絶対楽しい気分にならないですよね?
(B級映画で楽しい気分になれるのも、如何なものかとは思いますが)
しかし、そんな気合が足りない状況を打破すべく、今回思い切って借りてみました。
予想通りというか、期待を裏切らないというか、「エル・トポ」に負けず劣らずエログロに溢れた映画です。
ウ〇コのアップを映して、錬金術で黄金にするとか、老人が義眼を取り出して少女に握らせるとか(これ、明らかにロリコンの雰囲気です)。
その他、カメレオンとカエルに王様や兵隊の恰好をさせたお祭りとか、犬の磔死体をみんなで持って歩くパレードとか(これ、本物の死体?今ならコンプライアンス的にアウトでしょ)、半裸の女性集団(連れているチンパンジーを入れて13人だから、キリストの弟子なのかな?)が唐突に街中に現れて主人公についていくとか、とにかくエログロで、理解するのは無理!っていうシーンばかり。
ただエログロシーンは、カルト映画にしてはしっかり作られていて、安物感は全くありません。ジョン・レノンとオノ・ヨーコが出資したようなので、ある程度潤沢にお金をかけられたんでしょうか。
そして話は期待通り(?)、明確な説明のない、摩訶不思議なエピソードの連続。普通の人が理解できるあらすじはゼロです。
現代社会と人間の本質って金とエロとグロだよね、っていうのをストレート且つ過激に描いてるように見えます。
一応、「エル・トポ」と同じく現代の新しいキリスト神話作りと言われてますが、「そう言われればそうかも」ぐらいにしか感じません。
ずっと架空の世界(寓話の世界)で話が進んでいたのに、オチは監督自身が演じる錬金術師がカメラに向かって「今までの話はすべては妄想だ、これは映画の撮影だ。カメラを引け!」って言うと、本当にカメラが引いて、主人公たちを囲む照明やカメラのスタッフがいるロケ現場であることが分かって終わり。
え?急に現実??
寺山修司の「田園に死す」や深作欣二の「蒲田行進曲」と似た結末です。
(「田園に死す」も良く分からない映画だったけど)
結局新しい神話も、現実からは逃れられないって意味かもしれませんが、どうなんでしょ?
まぁ、どうせ理解不能な映画ですから、「イレイザーヘッド」と同じく、
考えるな、感じろ
っていうのが妥当。
ってか、それ以外、アドバイスのしようがない話なんですよー。
無責任でごめんなさい。
一つ言えるのは、僕を含む一部の人間にはひどく麻薬効果の強い映画です。
何年かしたら、間違いなくまた見たくなるでしょう。
その時は他人には勧められないので、ひっそりと一人で見ることになるはずです。
いずれにせよ地上波では絶対に放送できないタイプの映画です。
サブスク系でも、なかなかないようです。
でも、レンタル屋さんには置いてあるところがあります。
いい時代ですね(苦笑)