パグ太郎の<昭和の妖しい映画目撃者>

昭和の映画目撃談&時々その他いろいろ

【ウォリアーズ】単純な逃亡劇だけど、カッコよくて面白い!

このブログでよく取り上げるウォルター・ヒル監督。

面白い映画をたくさん作るけど、たまに「おや?」っていう地雷もあります。

でも、そんな彼の作品の中で「ストリート・オブ・ファイヤー」(1984)と並んでお勧めするのが「ウォリアーズ」(1979)。

 

ずっと「一般的には映画の歴史の中に埋もれてる作品」と勝手に思ってたんですよ。

でも最近、どこかのアパレルメーカーが、この映画のプリントシャツを出してたりして、意外に人気があることを知りました。

 

そんな「実は人気のある映画」をレビューします!

 

(あらすじ)

ニューヨーク最大のストリート・ギャング<リフス>のリーダー・サイラスの呼び掛けで、ストリート・ギャング達は休戦協定を結び、ブロンクス公園に何百人も集まった。ライラスは集会でストーリー・ギャングを一つに纏める演説を始め、会場は大いに盛り上がが、その最中に<ローグス>のリーダーがサイラスを射殺。その現場を<ウォリアーズ>のメンバーに見られた<ローグス>はとっさに「サイラスをやったのはウォリアーズだ!」と叫ぶ。リーダーを失った<リフス>は「ウォリアーズを捕まえろ!殺してまも構わない」と全ストリート・ギャングに通達。<ウォリアーズ>はニューヨーク中のストリート・ギャングたちの追撃をかわしながら、自分達の地元であるコニーアイランドまで逃げ帰ろうとするのだが…


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この予告編、何故かBGMは「恐怖の報酬」(1977)の音楽なんですよね・・・

 

それはさておき、主人公はストリート・ギャング、主要登場人物もヒロイン以外全員ストリート・ギャングということで、公開当時は「危険な映画」、「公開中止になるかも」「未成年は観てはいけないのでは?」といった話(ネタ?)が出回ってました。

大人になってから「日本の配給会社の話題作りじゃね?」と疑ってたんですが、その後、撮影現場で実際にストリート・ギャングが集められたとかか、当時として本当に危険な題材だったと知りました。

日本の配給会社さん(CIC)、疑ってごめんなさい。

 

でも、やっぱり現代の目で見ると当時話題になったような過激さは感じられません。

今は「ストリート・ギャング」って一般的な題材だし、暴力描写も普通のアクション映画レベル。

それだけ映画の世界が進化したってことでしょうか?

そんなワケで今は普通の人でも見れるレベルの描写です。

 

今回もウォルター・ヒルは「カッコいい」ことに拘ってます

それが悪い方に転ぶと、カッコいいことに拘り過ぎて(そればっかりになって)話が破綻しちゃうんです。

「ザ・ドライバー」(1978)は悪い例です。

 

pagutaro-yokohama55.hatenablog.com

 

でも、この映画はセーフ!

下手に話をこねくり回さず、シンプルな逃亡劇に仕上げたのが功を奏しました。

 

主人公たちが濡れ衣を着させられ、ニューヨーク中のストリート・ギャングから命を狙われて、ブロンクスからコニーアイランド(電車で1時間ぐらい)まで逃げていくだけ。

起承転結どころか、上に書いたことしか話がないといっても過言ではありません。

 

それでも面白いんですよ。

次々と立ちはだかる個性的なストリート・ギャング達を倒しながら進む姿はドキドキで爽快。

「敵を倒して次のステージに進む」っていう昔あった横スクロールの格闘ゲーム的な楽しさ。

(「スパルタンX」とか?)

ウォリアーズ_ポスター

まず、主人公のスワンがかっこいい!

マイケル・ベック演じるスワンは、「ストリート・オブ・ファイヤー」の主人公トム・コーディー(演じるのはマイケル・パレ)に通じるハードボイルドヒーロー。

どんなに困難な状況になっても、熱くなることなく突破していく姿は痺れます。

気になる女性にもデレデレしないし。

マイケル・ベックはこの後、あの伝説的なビックリSF映画「メガフォース」(1982)に準主役として出でたぐらいで、目立った出演作がないのが残念。

 

そして戦いは素手、ナイフ、バット。

生身のバトルっていうのがいいんですよ。

そういえば「ストリート・オブ・ファイヤー」もバトルといえば素手かハンマーでした。

 

ちなみに拳銃は出てきますが、使うのは悪役だけ。

そういう「卑怯な武器」(?)はリアルな男の戦いに不要ってことですね。

 

話は起伏が少ないし、上映時間も短いんですが、意外と登場人物のキャラがしっかり立ってます。

 

まず「ウォリアーズ」のメンバー。

逃げる途中でバラバラになって2つのグループに分かれる展開になるんですが、このお陰で主人公以外のメンバーにも見せ場があるんです。

喧嘩は強いけど自信過剰な男は、おとり捜査の女性警官をナンパして逮捕されるし、ちゃらいメンバーは逃走中に出会った女たちの誘いに乗ってついていったら、彼女たちもウォリアーズを狙ってるストリート・ギャングだった、とか。

 

ウォリアーズを狙うストリート・ギャングはみんな服装を統一してるんです。

当時、本物のストリート・ギャングって、この映画みたいにコスチュームを揃えてたんでしょうか?それともこの映画のオリジナル?

キューブリック監督の「時計仕掛けのオレンジ」(1971)の世界も同じような設定でしたね。

 

時計仕掛けのオレンジ_主人公のチーム「ドルーグ」

この設定、とっても漫画っぽいですが、お陰で「このステージの敵はこのチームだ!」って分かり易いんです。

 

その中で一番印象に残ったのは<フューリーズ>。

全員、顔をペイントして、野球のユニフォームにバット、という最もマンガ度の高い立ち

彼らとウォリアーズの戦いは盛り上がりました。

ウォリアーズ_フューリーズ

 

登場人物の中で強烈な印象を残したのはサイラスを撃った悪役、<ローグス>のリーダー。

いかにもサイコ且つ卑怯な感じがとってもナイス。

さっきも書きましたが彼だけが拳銃を振り回すんです。

いかにも「男の戦いに拳銃を使う」小悪投で卑怯な感じてしょ?

実は主演のマイケル・ベックより、この悪役を演じたデヴィッド・パトリック・ケリーの方が息長く俳優を続けてるんです。

ほとんどは脇役の、それも小悪党役らしいんですが(笑)

 

このカッコいい男の世界を盛り上げるのは時折、登場する女性DJ。

口元とマイクしか映らないんですが、深く落ち着いた声で<リフス>のウォリアーズ捕獲命令を広めるメッセージを放送しつつ、それに合わせた曲を流すんです。

でも、どことなく「ウォリアーズ、頑張って逃げてごらん」的なニュアンスのトークがとってもハードボイルド。

これは印象に残るアクセントでした。

 

そしてこんな「男の世界」この映画なのにヒロインがいるんですよ。

ストリート・ギャングでもなく、ただなんとなく主人公に惹かれてついてくる女。

気が強くて、男勝り。

素性は分からないし、主人公も最初は邪険にしてるけど、途中からしょうがないな、みたい気持ちにさせる女。

こういう「なんで唐突に?」ってキャラ、僕は基本的に好きではないんです。物語を左右することはないし、登場する必然性もなく、明らかに話にアクセントをつけるためだけの存在。

とって付けたような存在と言われても仕方ありません。

 

でもね、この映画だと違和感なく溶け込んでるんですよ。

キスシーンはあるけど、ベタベタしてないし、主人公にもしょっちゅう楯突くし。

その鼻っ柱が強いキャラが、このハードボイルドの世界にピッタリなんですね。

これぞ、好調な時のウォルター・ヒル・マジック????

 

そんなカッコ良さに統一された映画ですが、一つだけ違和感があったのが主題歌。

エンディングで流れるんですが、歌っているのはジョー・ウォルシュ。あの「ホテル・カリフォルニア」のイーグルスのギタリストです。

彼の歌う「In the city」が、ちょっと爽やか過ぎるんですよ。

全く場違いとまでは思いませんが、「なんか、ちょっと違うなぁー」って感じ。

In the City

In the City

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ただ歌詞は映画の内容にピッタリなんですよ。

(この映画のために書かれたのかな?)

他の曲が映画に似合ってただけに余計に目立ったのなもしれません。

 

そういえば、劇中に流れる曲の中にデズモンド・チャイルドの曲があるのを発見しました。

デズモンド・チャイルドはソロではヒットしなかったけど、この映画の後ぐらいから作曲家として活躍します。

キッスの「ラヴィング・ユー・ベイビー」、ボン・ジョヴィの「禁じられた愛」「リビング・オン・プレイヤー」、エアロスミスの「デュード」、アリス・クーバーの「ポイズン」など、80年代のハードロック系の大ヒット曲を作りまくってました。

なのであの頃の洋楽ハードロックを聴いていた人には忘れられない名前です。

 

僕はマイナーですが、Bonefireというバンドに提供した「The Pice of Loving You」という曲が好きでした。(↓はデズモンド・チャイルドが自分で歌ったバージョン)

The Price of Lovin' You

The Price of Lovin' You

  • デスモンド・チャイルド
  • ロック
  • ¥255
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でもこの映画に提供した「Last of an American bleed」を改めて聴いてみたら、これもちょっと不似合いな爽やかな曲でした(笑)

なんでこっちは気が付かなかったんだろ?

 

Last of an Ancient Breed

Last of an Ancient Breed

  • デスモンド・チャイルド
  • サウンドトラック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

ともかくカッコいい場面、カッコいい展開、カッコいいセリフ「だけ」で構成された映画。

でも「話なんて不要なイメージビデオ」ではなく、ちゃんと娯楽映画として成立しています。

まさにウォルター・ヒル監督の傑作「ストリート・オブ・ファイヤー」と同列の映画。

「ストリート・オブ・ファイヤー」が好きな人なら見て損はないかも。反対にこの映画を見て面白い!と思ったら、「ストリート・オブ・ファイヤー」をも見てください。

 

pagutaro-yokohama55.hatenablog.com

 

「ウォリアーズ」の新品Blu-rayは入手出来るみたいですが、結構いい値段します。

 

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