このブログで繰り返し書いてますが、僕は「話」にとっても拘ります。
話が安直だったり、捻りがなかったりすると相当にガッカリします。
(反対に多少チープの映画でも、話の展開を工夫してる、考え抜いてるとやや過大評価しがちな傾向があるのが問題ですが・・・)
そんな見方をしてる僕ですが、たまに「これは話を楽しむ映画じゃないんだけど、これはこれでいいのだ」って思える映画があります。
それが今回レビューする「ストリート・オブ・ファイヤー」(1984)。
大好きな1本で、DVDも持ってます。
今回は久しぶりに見てみることにしました。
(あらすじ)
人気歌手のエレンが、チャリティーコンサートのために地元に戻って来た。しかしコンサートの途中で、ストリート・ギャングのレイブンに拉致されてしまう。彼女のファンであるリーヴァは、彼女を助け出すために、エレンの元恋人で、弟のトムを呼び寄せる。トムは「カネをくれるならやる」と素っ気なく言って、現在のエレンの恋人であるマネージャーから救出を1万ドルで引き受ける。マネージャーと街に流れ着いた女兵士のマッコイを相棒に、トムはレイブンのアジトに乗り込んでいく・・・
監督は、「男」を魅せる骨太の娯楽作を信条としてる(?)ウォルター・ヒル。
たまに「クロスロード」(1986)みたいな映画も撮りますけど、基本線は「カッコよく男を見せる」(カッコいい男を見せる、ではない)ことに命を懸けているフシがある人です。
ちなみに脚本もこの人です。
主演のマイケル・パレはこの映画と「フィラデルフィア・エクスペリメント」(1984)で、当時人気を博してました。
渋いイケ面ですが、ちょっとぶっきらぼうな役を得意としていて、前年に初主演した「エディ&クルーザーズ」(1983)も似たような役でした。
pagutaro-yokohama55.hatenablog.com
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このレビューで、<昭和の妖しい映画目撃者>としては、マイケル・パレのコンプリです(笑)
はっきり言えば、ストーリーは添え物。
ひたすらカッコいいセリフと、そのセリフが映えるカッコいい展開、カッコいいシーンを見せるだけの映画と言っても過言ではありません。
言い換えれば話だけを吟味すると、捻らなさ過ぎておいおいっていうところが結構あります。まぁ、安易っていうのではなく、本当にシンプル過ぎ。
歌手が地元のコンサートで、ストリート・ギャングに拉致された。そこで昔の恋人が救出した。頭にきた不良がタイマンを申し込んだが、反対に主人公に倒された。主人公は颯爽と去っていった。
そんだけ。
でも、そんなシンプルな話に乗っかってる登場人物達のセリフや態度が、まさに教科書的ハードボイルドの王道なんですよ。
主人公は今でも元恋人のことを愛してるのに、助け出した彼女に「カネのためにやっただけ」とぶっきらぼうに言います。
でも、いざカネを受けとる時は「手伝ってくれたやつに払う分だけでいい」って、自分の分は受け取らないとか、もう鉄板過ぎる態度。
彼の相棒になる女兵士は終始、主人公に「あんたなんか全然タイプじゃないよ」って言いつつ、最後は街を去る彼の横に車をつけて、「乗ってくかい?」と言い、乗り込む彼に、また釘を刺すように「あんたは全然私のタイプじゃないからね」と。
本当は好きなクセに!これぞ、ツンデレ!
こういうシーンてんこ盛り。
普通だと「カッコいいけど、中身ねぇなぁ」ってなるんですけど、そこはウォルター・ヒルのカッコいいシーンを生かすシンプルな脚本と演出力の勝利。
世の中のハードボイルドファンが「典型的なハードボイルド主人公の活躍」と思ってるものを提供してるから。
1980年代では、既に「今更こんなベタなカッコいいシーンなんて」と日和ったり、捻ったり、徹底できなかったりした時代だったんですが、この映画からはそういう中途半端な気持ちは微塵も感じられません。
まさに「信念」レベル。
凄いぞ、ウォルター・ヒル!

そしてキャスティングも、その世界観に合わせてあります。
マイケル・パレは、前述通りニヒルでぶっきらぼうだけど、中身は熱い男を好演。アクションシーンでも、いつもクールで、ザ・ハードボイルド。
敵役が「タイマンで決着つけよう」と言われて、恋人と女兵士と電車で街を出るんだけど、途中の駅で恋人を殴って気絶させるんですよ。
気絶した彼女を相棒の女兵士に任せて、彼は敵役が待つ街に戻る、なんていうのも昔のハードボイルド映画っぽいです。
(今なら女性を殴るなんてNGでしょうけど)
敵役はウィレム・デフォー。
元々イカつい顔だし、演技達者なので、敵役としては存在感があります。
この人、「プラトゥーン」(1986)や「ミッシッピ・バーニング」(1988)では正義感の強い役を好演したりと、善悪どっちも演じられる凄い役者。
「最後の誘惑」(1988)ではキリストを演じてたし。
でも彼が本領発揮するのは、「処刑人」(1999)や「シャドウ・オブ・バンパイア」(2000)、サム・ライミ版「スパイダーマン」(2002)のキレキャラや異常者。
ホント、そういう役の時の存在感は圧倒的!!!!
そういう点でこの役も彼に似合ったキレキャラなんですが、若かったこともあってか、ちょっと期待したよりキレ度が足りず、大物感が少ないのは残念です。
今の彼なら、さぞかし凄いキレぶりを見せてくれて、マイケル・パレを圧倒するんだと思います。
ヒロイン役のダイアン・レインは撮影当時18歳だったそうです。
でも既に大人の女性の色気があって、ハードボイルドに欠かせないクール・ビューティーが全く違和感なく発揮しています。多分、彼女のことを知らない人が見たら、映画の中での設定通り28歳に見えるんじゃないんでしょうか。
特に印象に残るのがオープニングとエンディングで彼女が歌う「Nowhere Fast」と「Tonight Is What It Means to Be Young」。
めっちゃカッコ良くて、ロックの歌姫感満載です。
(ただし歌は吹き替え)
どちらも名曲で、作詞作曲はミート・ローフの大ヒット作「地獄のロック・ライダー」(1977)と「地獄のロック・ライダーⅡ~地獄への帰還」(1993)で有名なジム・スタインマン。
僕はリアルタイムだった「地獄のロック・ライダーⅡ~地獄への帰還」にドはまりし、聴きまくっていたのが懐かしいです。(ミートローフの唯一の来日公演(1996年。東京1回のみ)も観に行きました)
「Tonight Is What It Means to Be Young」は日本のテレビドラマで「ヤヌスの鏡」(1985~1986)の主題歌として、「今夜はANGEL」のタイトルで日本語カバー版されてましたので、僕と同世代の中には「聞いたことあるメロディかも?」って思う人がいるかも。
ちなみに日本語バージョンはその後、聖飢魔IIのデーモン閣下がカバーしてます。
この映画はオープニングで「どこかの時代で、どこかの場所」と表示されるように、時代や場所も架空としてます。
衣装や背景等から判断すると、1950~60年代のアメリカの地方都市がモデルになっているようです。
古めかしい電車の高架線が街の真中を通っていているし、その下を50年代風の車が行き来してます
往来を歩く人の服装もやっぱり1950年代風。
ヒロインがステージで使うマイクも四角のデカイやつだし。

でも、前述の2曲はどう聞いても80年代のロックなんですねー(笑)
まぁ、それ以外でも劇中に流れる他の曲もアレンジやメロディラインは「あれ?80年代」と感じるところ多いんですけどね。
話が音楽の方に逸れちゃいましたけど、彼女の現在の恋人でマネージャーを演じるのは、ニック・モラニス。
「ゴーストバスターズ」(1984)や「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」(1986)で演じたコミカルで人の良い役の印象が強いですが、ここでは強欲で、嫌味な男を演じてます。
それでも最後は、主人公に「君とエレンの邪魔はしない」と言う、男気の良さを見せます。
それに対して主人公は「(歌手の)彼女には俺よりあんたが必要だ」と返し、マネージャーが「彼女が愛してるのは君だ」と言うと「俺はきまぐれな男だからな」と返します。
マネージャー「それは彼女に言えよ」
主人公「君は口が上手い。まかせるよ」
まさにハードボイルド的友情ですね。
ラストは「行ってしまうの?」という彼女に、
「俺はお前の付き人になれる人間じゃない。だがお前が俺を必要になったら、俺はいるよ」
と言って去っていくんです。
くーー、ハードボイルド!
他にも日ごろ主人公を目の敵にしているベテラン警官が、ウィレム・デフォーとタイマン対決に向かう主人公に「今日はゆずるぜ。あいつをぶっ倒してこい」と言うシーンや、彼らの逃避行を手伝うハメになった売れないコーラスグループが最後にヒロインの前座&コーラスに抜擢されて大ヒットするなど、ニンマリする(この手のお約束)エピソードも揃ってます。
この映画の副題は「ロックンロールの寓話」。
まさにハードボイルドのおとぎ話。
雰囲気に酔うための映画だと思います。
元々「話よりも雰囲気作り重視」と評される(批判される?)ウォルター・ヒルならではの作品と言えます。
ヒットはしなかったけど、80年代の娯楽作を代表する隠れた1本じゃないでしょうか。
今でも根強いファンがいるのが分かります。
ちなみに撮影はシカゴで行われたらしいです。
その頃に仕事で何度かシカゴに行っていたので、「見たことのある風景」が懐かしかったです。
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