今回レビューするのも、子供の頃、テレビでよくやってた映画です。
大作ではないですが、見る度に「面白いなぁ」と思ってました。
それが「ドーベルマン・ギャング」(1972製作/1974日本公開)。
人間の代わりに訓練されたドーベルマンに銀行強盗をさせる話です。
最後に見てから50年ぐらい経ってます。
そこで今回見てみることにしました!
(あらすじ)
プロの銀行強盗3人組が、とある銀行を襲ったものの、逃走で乗り込むはずの車を間違えて失敗。グループのリーダーで、強盗計画の立案を担当する主人公は間違いを犯さなずに強盗を成し遂げる方法を思案していたところ、たまたま通りかかった中古車屋で盗みに入った自動車泥棒の一味が訓練された番犬に追い詰められるのを目撃する。その時、彼は「訓練された犬ならば、忠実に間違えずに強盗を行えるのではないか」と考えるようになる・・・
実は僕はテレビっ子でないんですが、昭和40年代~50年代はテレビの洋画劇場だけは食い入るように見てました。
(嘘です。本当は幽霊や宇宙人、未確認生物の特集番組も欠かさず見てました)
オンデマンドやレンタルと違って、テレビ局が放送する映画を、「ドンと来い!」とばかりに好き嫌いなく見てました。
お陰で、かなり幅広くいろんな映画を見て、趣味の幅を広げられたと思ってます。
(残念ながらその後、ヨーロッパの名作趣味を経て、かなりマニアックな方面に逸れてしまいましたが)
その頃は、B級娯楽作がいっぱい放送されていて、ピンからキリまでかなり見てました。
このブログでも取り上げてる「バニシング IN 60」(1974)や「ソイレント・グリーン」(1973)「人類最後の男オメガマン」(1971)なんかがそれに当たります。
pagutaro-yokohama55.hatenablog.com
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この「ドーベルマンギャング」もそんな一本。
なんの予備知識もなかったんですが、初めて見た時に素直に「面白かった!」と思った作品です。
その後暫くは、1年に1度ぐらいはTVで放送されていたので、その度に見ていたんじゃないでしょうか。
1990年ぐらいにはすっかり忘れ去られた映画になってしまいましたが、今回見直したら・・・やっぱり面白かった!
何よりも「人間は間違いをおかす。ロボットななら命令通りキチンとやる。でもロボットのんて現実的じゃないし・・」という天才銀行強盗(でも仲間の二人は間抜け)が考え出したのが、ドーベルマンに強盗をやらせるという荒唐無稽なアイディア。
とにかく、このアイディアが秀逸。
観客でさえ「ドーベルマンに強盗させるなんて無理でしょ?」って思ってるところに、「こうやれば出来るんじゃないか」って一つ一つハードルをクリアしていくパズル的なところがとにかく面白いんです。
この映画の面白さの大半はこのパズル的にアイディアを実現化していくプロセスにあります。
狙う銀行を決め、客のふりをして店内の写真を撮り、それをもとに田舎にある小屋を実物大のセットで再現するとか、軍隊で犬の訓練をしている兵士に雑誌取材の名目で近づいて、仲間に引き入れるとか。
特に「犬は自分では判断出来ない」というのを解決するところ。
犬は合図があって、初めて次の行動に移ることになるんです。さぁ、どうやって合図をするのか・・・
そして、訓練やアイディアのパズルがきれいに組み合わさるラストの強盗シーンは本当に爽快。
思わず「へーー」って言っちゃうし、「これ、本当にドーベルマンに強盗させることが出来るんじゃないかな?」とさえ思えたりします。
犬の訓練シーンも多いですが、そこは雰囲気作りみたいな感じで、見るべきところはないです。
寧ろ、ドーベルマンと一緒に連れて来たブルドッグが、ドーベルマンのように訓練を受けるのですが、うまく出来ない様がコミカルな息抜きになってます。
また人間関係も三角関係が出てきたり、強盗をするべきか悩んだりというところがドーベルマンの訓練と並行して描かれ、微妙に仲間割れが起こっていきます。
これが最後のどんでん返しに繋がるところまでは何となく想像つくんですが、更にもう一つのどんでん返しが痛快でした。
結局、犬を使ってるつもりが、最後は犬にしてやられるというオチは見事。
というか、このオチに持っていくために人間ドラマが描かれていた気さえします。
全体的に人間ドラマの部分に深みはなく、凡庸な感じさえあります。
全ては「ドーベルマンを使って、どうやって強盗をさせるか?」という部分に焦点が当たっていてる作りは正解。
だって観客もこの映画に人間ドラマを期待してないからです。
観客の興味はドーベルマンがどう訓練されて、どう強盗をするかしかありません。
「ドーベルマンギャング」というタイトルも、「それにしか興味ないでしょ?」という感じ。
だから見ている方としても、人間ドラマが多少薄っぺらくても平気、十分映画は楽しめます。
そういう意味で、まさに「余分なことはやらない、背伸びをして一級品のフリをしない」70年代B級娯楽作です。
時間も87分と1時間半を切ってるぐらいなので、古い娯楽映画に抵抗がなければ見て損はないと思います。
この映画に登場する六匹のドーベルマンの名前は全てアメリカの有名な銀行強盗でした。
子供の時は全然気づかなかったんですが、大人になって色々な映画や本に接したお陰で、それが分かるぐらい知恵がついてました。
(要らない知識だけど)
ただ有名なギャングの名前ってことは、TV放送時に前説で淀川長治さんが解説してたかもしれません。(こういう小ネタを、淀川長治さんはよく話してくれていた気がします)
残念ながら新品のDVDやBlu-rayは入手困難です・・・
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