「アニマルハウス」(1978)を作ったアメリカのユーモア雑誌ナショナルランプーンの劇場映画第二弾「ホリデーロード4000キロ」(1983製作/1984日本公開)
公開当時、かなり期待してました。
アメリカでも大ヒットしたって話だったし。
だけど実際見たら、面白さのツボが分からない映画でした。
海外のコメディ映画で時々、こういうのあるんですよね。スピルバーグの「1941」(1979)とか。
当時の僕の感性不足なのか、それを検証してみます!
(あらすじ)
保険会社に勤める主人公は、家族サービスのため、新車を購入し、シカゴからカリフォルニアの遊園地までドライブに出かけようとする。しかし予約していた新車は買えず、道中でも散々な目に遭いながらも、主人公家族が憧れの遊園地を目指すのだが・・・
これを見たのは、確か岐阜のピカデリー劇場(現在は映画館としては廃館)。
同時上映は「グレイストーク -類人猿の王者- ターザンの伝説」(1984)。こっちはすんげー、真面目な映画。相変わらず当時の岐阜の同時上映は「闇鍋感」満載です。
ちなみに「グレイストーク -類人猿の王者- ターザンの伝説」は、ちょっと前に公開された「類人猿ターザン」(1981)とは、全く真逆の、ターザンの人間的な成長を描いた重めの文芸ドラマでした。
これも今、見直してみたいですね~。
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ポスターの「家族揃って逆噴射!!」って今ならアウトになるかも。
元ネタは日航羽田沖墜落事故(1982/2)。
羽田空港にアプローチ中の日航機が墜落し、多くの死傷者を出した事件ですが、のちの調査で、錯乱した機長が突如エンジンを逆噴射にしたことで急失速したことが原因と判明。一躍「流行り言葉」になったのが「逆噴射」だったからです。
さて、「ホリデーロード4000キロ」は、当時、人気絶頂だったコメディアン、チェビー・チェイスの主演作。
真面目だけが取り柄みたいなお父さんが家族旅行で、ドタバタに巻き込まれるというコンセプトは、彼にピッタリです。
何故なら一見しっかりしてそうだけど、実はどんくさいっていうのは、彼の真骨頂。
「ファールプレイ」(1978)の正義感があって、見た目はカッコイイけど、やることなすこと失敗ばかりの刑事役は彼のベストプレーじゃないでしょうか。
主人公のキャスティングだけで、既に面白い予感がします。
だが、しかし
実際の映画はサッパリでした。
とにかく次々と笑わそうと、いろんなギャグを仕掛けてくるんですが、どれも空回り。
作ってる本人たちは「これ、面白いでしょ?」ってニヤニヤしてそうですが、どのギャグも最初のとっかかりから「最後はこういうオチで笑わせるんでしょ?」って言うのがミエミエなものばかり。
出だしの注文した車と全然違う変な色の車が出てきて、きっと主人公、ディーラーに押し付けられちゃうんだろうなー、と思ったら、本当にそうなるし。
そんで、この車がトラブル続きのボロボロの車なんだろうなぁ、と思ったら、本当にそうだし。
飲み会の席で、パッと思いついたギャグを、何の捻りもせずにそのまま映画化したのかのような出来。
何よりもこの映画の一番ダメなところは、大筋の話自体で笑わそうとするところがないこと。
ただ単に家族旅行で、憧れの遊園地に向かう途中で変な親戚に会ったり、田舎のガソリンスタンドでぼったくられたり、といろいろあるんですが、それが旅行自体に何も影響しません。
話の根っこである旅をするっていう筋自体には捻りもなく、仕掛けもなく、面白みがないんです。
ホント、ただひたすら旅をする、それだけの話。
だからショートギャグが終われば、そこでいったん笑いも終了してしまいます。
要はイベントはいっぱいあるんだけど、どれもお飾り。
一本の映画を見ている、というより、四コママンガの羅列のようなイメージでしょうか。
原案/脚本のジョン・ヒューズは僕の大好きな「プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角」(1986)の脚本家なんですけどね~。
この映画の脚本はちょっと残念。
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監督のハロルド・ライミスはコメディ役者もよくやっていて、僕は監督より「ゴーストバスターズ」(1984)などの出演の方が印象にあります。
彼のフィルモグラフィーを見ると、「サタディー・ナイト・ライブ」や「ナショナル・ランプーン」系の人脈の人っぽいです。
終わってみればチェビー・チェイスの「映画」っていうより、彼が出ている「バラエティー番組」のコントコーナーを見ているようでした。
勘違いで、常に誰かに追われるとか、もうちょっと大筋でスリリングな仕掛けでもあれば、面白かったんですけどねー。
そういう意味では「弾丸特急ジェットバス」(1976)の方がコメディとしては、ちゃんとしてたかもしれません。
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Blu-ray、DVD共に国内では現在、入手困難。そもそも国内版は発売されたことないのかも・・・