昭和の大スター、アラン・ドロン。
そして21世紀になってからカルト的に人気が再燃したチャールズ・ブロンソン。
そんな2人が共演したのが「さらば友よ」(1968)。
昭和の映画ファンには、目を合わさずにアラン・ドロンがチャールズ・ブロンソンのタバコに火をつけるラストシーンで有名です。
この映画を見たことのなかった僕だって知っています。

そんな昭和映画ファンには忘れられない映画を初めて見てみます!
(あらすじ)
アルジェリア戦争から復員したぐんいの主人公は、同じ船に乗っていたアメリカ人の傭兵の男に声を掛けられるが無視をする。
彼はそこで死んだ戦友を待っている女性と出会う。彼女と親しくなり、やがて彼女から仕事を依頼される。それは彼女が会社から持ち出してしまった国債をクリスマスの夜に会社の金庫に戻して欲しいというものだった。
彼はクリスマスの夜に会社に忍び込むが、カネの匂いを嗅ぎ付けた傭兵の男がついてきた。
そして金庫を解錠したが、金庫の中身は空だった。その上、二人はビルの地下室に閉じ込められてしまう…
2人ともアルジェリア戦争帰りという設定。
ただしアラン・ドロンは戦場で心に傷を負った軍医。
片やチャールズ・ブロンソンはあっけらかんとした傭兵。
2人とも覚めた目で世間を見てるところは似てるんですが、アラン・ドロンが厭世的なのに対し、ブロンソンは「世間ってそういうもんだろ」的なシニカルさ。
チャールズ・ブロンソンは社会に戻っても、裏社会と結びついて上手くやっていきますが、アラン・ドロンは出会った女性にずるずると引きずられるように謎の計画に巻き込まれてきます。
アラン・ドロンの不可思議な行動に、カネの匂いを感じたチャールズ・ブロンソンがお邪魔虫よろしく強引についっていったら、一緒に地下金庫の部屋に閉じ込められてしまいます。
子供の頃は地下に閉じ込められるっていうシチュエーションと、有名なラストシーンしか知らなかったので、てっきりずーーっとビルの地下室だけで進む話かと思ってたんです。
要は密室舞台劇みたいなものを想像してたんですよ。
あのラストシーンは地下室から脱出したシーンだと勝手に想像してました。
でも、実際に見てみたら、地下室のシーンはメインではあるものの、全体の半分ぐらい。
あとは「誰が誰を騙してるんだ?」「誰が味方で、誰が敵なんだ?」的な展開で、結構スタンダードなサスペンスなんです。
特に地下室を出てからが、サスペンスとしてはメイン。
出て来たところを警察に追われますが、チャールズ・ブロンソンがとっさにアラン・ドロンを助け、逮捕されます。
チャールズ・ブロンソンは警察で「プロップ(アラン・ドロン)?それ誰?知らないねぇ」とシラを切り、金庫のことも「何のことだか」とのらりくらりと尋問をかわし、逃げたアラン・ドロンは自分を罠にはめた女を探すという展開。
結構地下室にいる時間より、それ以外の時間の方が長いです。
それでもこの映画を際立たせてるのは、やはり地下室のシーン。
地下室に閉じ込められた全くタイプが違う男二人がイガミ合いながらも、絶望的な状況の中で奇妙な友情を感じるようになる、っていうエッセンスがこの映画を別格なものにしてます。
身も蓋もない言い方をすれば「吊り橋効果」ってやつですかね?
また友情も「俺とお前の友情は不滅だ!」みたいなこと熱く、ハッキリしたものではなく、「なんとなく友情っぽいもの」という温度感がいいですね。
お互いに「仲間だと思ってるんだな」というのは、何気ないセリフや態度の端々に感じられる程度に収めてるのがポイント。
目で語り合い、態度で示すみたいな、日本の任侠的な男の友情っぽいです。
アラン・ドロンは、チャールズ・ブロンソンが警察の尋問にも自分のことを白状しない報道を見て、自分の身の潔白と同時にチャールズ・ブロンソンを助けるため、警察も巻き込んで真犯人をおびき出す罠を張るワケですよ。
ここでも「あいつのため」とはっきり言うワケじゃないんですよね。

そして最後は有名なラストシーン。
お互いに知らんぷりをすることが、最後まで知らないふりを通したチャールズ・ブロンソンへの敬意なのかもしれません。
この任侠的な友情が。この映画を普通のバディ物サスペンスの枠では収まらない、個性的な作品にしています。
最後にチャールズ・ブロンソンが連行して連れ去られた後に、アラン・ドロンが「ハっ!」を叫んで終わるんですが、あれは何の叫びだったんでしょうか?
とっても印象的な叫びだったんですが、僕はちょっと真意が分かりませんでした。
どういう解釈をしたらいいか、誰か教えて下さい。
とにかく主演の二人があまりにハマっています。
これ、リメイク版を作っても、この二人以上にハマる俳優を探すのは難しそう。
ちなみにチャールズ・ブロンソンを指名したのはアラン・ドロンらしいです。
正直、前半はちょっともっさりとした展開でした。
テンポが悪いというか、映画がどういう方向に進むのかはっきり分からない、微妙な雰囲気なんですよね。
地下室のシーンから俄然テンポが上がって、ラストまで一気に見せてくれます。
見終われば「ああ、面白かった。アラン・ドロンとチャールズ・ブロンソンが堪能できた」と思えます。
もっさりとした映画の入り方や、銃撃やカーチェイスなどの派手さがないところ、濃厚に人と人との関係に重点を置いた描き方をしているところはまさに「ヨーロッパ映画」。
(製作はイタリア/フランスで、スタッフはフランス人で固められてます)
昭和のヨーロッパ映画を観ている人なら、どこの国に製作か言わなくても、ものの数十分でヨーロッパ映画だ、って分かるハズです。
余談ですが、この2人が共演したのは、もう1本あります。
西部劇の「レッド・サン」(1971)。
これもヨーロッパ製の映画です。(マカロニウエスタンの流れかな?)
この映画には主役が3人いて、アラン・ドロンとチャールズ・ブロンソン、そしてもう一人は三船敏郎さんでした。
で、フと思ったんですがチャールズ・ブロンソンの代表作って何でしょう?
「狼よさらば」(1974)なのかなぁ?でも、ちょっと違う気がするなぁ。
間違いなく日本人が、彼の名前で思い出すのはマンダムのCMなんですけどね。
あとアラン・ドロンとチャールズ・ブロンソンなら、野沢那智さんと大塚周夫さんの吹き替えで見たかったかも。
やっぱり昭和の映画世代としては、この二人の吹き替えは外せないと思います。
新品DVDは格安で手に入るみたいです。
(それも野沢那智さんと大塚周夫さんの吹き替え付きっぽいです。欲しくなってきた・・・)
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