小学生の時は9時から始まるテレビの映画番組に、本当にお世話になりました。
月曜ロードショー、水曜ロードショー、金曜ロードショー、日曜洋画劇場と隔日で見ていたんです。
(火曜、木曜、土曜はやってなかった記憶があるんですが、それは岐阜だからでしょうか?)
あと日曜の午後にも1時間半ぐらいの短めの枠で映画を放送していて、「ミニミニ大作戦」(1969)を見たのを覚えてます。
当時は公開されて日が浅い映画はあまり放送されず、大体公開から10年以上経っている作品が主流てした。
まだサブスクどころか、レンタルビデオもない、もっと言えば家庭用ビデオデッキも普及していない頃だったので、古い映画はほとんどTVで学びました。
そんな中で、よく放送されてた1本がSF映画「ミクロの決死圏」(1966)。
潜航艇をミクロ化し、手術不可能な怪我を体内に入って治療する話で、本物らしくビジュアル化された体内がとっても印象的でした。
凄く印象に残る映画だったんですが、何故か記憶が中途半端なんです。
記憶にあるのは体内に入った後半部分だけ。
まぁ、まさに映画の核心部分ではあるんですが、やっぱりそれだけじゃ見たってことになりませんよね?
そんなワケで今回、格安のBlu-rayを購入。(サブスクになったから・・・)
正座して全編をしっかり見てみたいと思います!
(あらすじ)
某国からアメリカに科学者が亡命した。しかし亡命を阻止したい某国は、移動中の車を襲撃。科学者は脳内に損傷を受けてしまう。外科手術は不可能であることから、アメリカは人間やモノを超小型にする技術を開発しており、密かに組織されたミクロ部隊を結成していた。アメリカ軍はミクロ化した潜水艦に外科医や操縦者、軍人を乗せて、科学者の体内に潜入させ、怪我をした部位を手術することを決断。しかしミクロ化の時間は60分と限りがあった…
これ、政治スリラーの要素があったんですね。
某国の科学者がアメリカへ亡命したものの、亡命を阻止しようとする某国(多分、ソ連)の襲撃を受け、脳に傷を負う。
この科学者が発明した技術を使えば、アメリカは軍事的優位に立てるので、なんとしても助けたい、ってい序盤はいかにも冷戦時代のスパイ映画風です。
ちなみに彼が持つ技術はこの映画の肝でもあるミクロ化技術。
アメリカでは1時間が限界だが、彼はそれを何倍にも伸ばす発明をしてるんですよ。
軍人が「この技術を使えば、大部隊をアタッシュケースに入れて持ち運べるぞ」と力説。
まさに戦争目的です。
そんな議論をコンパクトにチャチャっと見せると、いよいよ原子力小型潜航艇をミクロ化して体内へ。
やはりこの映画の見所はここからですね。
体内に入ってからの映像は本当に素晴らしいです。
カラフルで幻想的なところは、今見ると「リアルさ」よりも「映画的な面白さ(=嘘)」だと思うんですよ。
でも見ている間ははリアルに感じるんですよ。
そしてワクワクさせられるんです。
なんたって原題は「ファンタスティックな航海」(Fantastic Voyage)です。
CGがない時代に、よくここまで作り込んだなぁ、って感心するほどの出来です。
ワカメのような抗体が主人公たちの方に飛んでいき、体にまきつくところなんてどうやって撮影したんでしょうか?
体内のどこにいるのか、というのは潜航艇が新しい部位に行く度に乗組員や外でモニタリングしている軍人たちが体内図を出して「今はこの辺りだ。ここは〇〇の場所だから、XXXに気を付けよう」とセリフで説明があるので分かり易いです。
ただ毎回、毎回丁寧に説明(解説)されるので、どことなく科学教育番組っぽいところは否定できませんが。
当然、予想外のことが起こったりして、体内の旅は順風満帆とはいかず、ルートが予定と変わったり、危険な場所を通過したりします。
1時間というタイムリミットがあるため、強引に心臓の中を通過するシーンは面白かったですね。
タイムロスをしてしまったため、時間内に患部に辿りつくには、心臓を通り抜けるしか道はない。でも動いてる心臓を通過するのは無理。そこで患者にダメージを与えない一分間だけ心臓を止めて、その間に抜けるんですよ。
いや、脳にダメージを受けてる患者の心臓を止めるって、本当に大丈夫?と思ってしまいました。
本末転倒じゃなんでしょうか?
あと耳の辺りを通ってる時に大きな音で衝撃を受けるとか、肺の中で酸素の補給をするとか、かなり見せ場はありました。
最後の脱出経路は、何度見てもなるほどー、って想わせます。
次々と体内での困難が考えられて、全く飽きなることはありません。
実は冒頭だけでなく、潜航艇が体内に入ってからもスパイ映画っぽい要素があるんですよ。
体内に入る前に「乗組員の中に裏切り者がいる可能性がある」という話が出て、実際に時折、破壊工作らしきものが起こるんです。
裏切り者は誰だ!ってなるんですが、そんなこともよりも体内で起こる目の前の困難の方が大きすぎて、スパイネタではあまり盛り上がらないですね。
更に最後に妨害工作をやった人物が分かるんですが、敵国のスパイだからかやったのか、ただ単に閉所恐怖症で「作戦を中止して早く患者の体から出たい」かったのか、ハッキリしないんですよ。
(僕は後者の気がしてならなかったです)
そこはスパイ要素としてかなり弱いです。やはり悪役は悪役らしくしないと。

監督のリチャード・フライシャーは、1950年代~1980年代の長きに渡り、
娯楽作を作り続けた人。
どれも一定水準以上の作品が多いし、ジャンルも様々なので「娯楽職人」っぽいですが、安物っぽい娯楽作はかなり少ないことから、実は作品を吟味してたんじゃないかと思います。
晩年は「悪魔の棲む家PART3」を監督してたりしますけど・・・
これも彼の良さが全面に出ていて、娯楽作に仕上げつつ、スケール感を維持できています。このスケール感こそ、体内を「広大な未知の領域」として見せるポイントだったんじゃないんでしょうか。
主演はスティーブン・ボイド。
「天地創造」(1966)や「ベン・ハー」(1959)、「ローマ帝国の滅亡」(1964)とかの大作史劇や聖書モノで敵役や脇役と準主役の間ぐらいの役をやっている印象の人です。
この映画では普通に正義感のある頼れる男を演じてますが、特筆するところはないかなぁ。
グラマー女優で有名なラクウェル・ウェルチも出ています。
ピチピチのスウェットスーツを胸元開けて着ていますが、あまりエロさはなく、ちゃんと普通に医者の助手(技術担当)に見えます。
調べたら、この映画から目立つ役を貰えるようになったみたいですね。
ちょっとあっけらかんとした感じのコメディタッチの娯楽作を主戦場にして活躍してたイメージなので、メジャーデビューがシリアスなSFモノだったのは意外でした。
そして裏切り者&小心者を演じているのは、このブログでお馴染みのドナルド・プレザンス。
ジョン・カーペンター監督やホラー映画の常連です。
いかにも怪しそうなのは、この頃から変わりません。あ、あと妙な小者感も。
「007は二度死ぬ」(1967)でジェームス・ボンド最大のライバル・プロフェルドを、「ニューヨーク1997」(1981)では大統領を演じてましたが、どちらも大物の風格がなくて、不似合いな印象でした。
まぁ、ハッキリ言えば、この映画のキャスト全般が「可もなく不可もなく」なんです。
まぁ、「体内の不思議を見せましょう!」っていう映画なので、俳優は映画を盛り上げるための脇役みたいなものだから、「目立ち過ぎない」方が良かったのかもしれません。
本当に「素晴らしい体内観光ツアー」でした。
正統なSFマインドに溢れた良質なSF映画で、センス・オブ・ワンダーに溢れてます。
まさに「万人が楽しめるSF映画」であることには間違いありません。
僕はこの映画や「アンドロメダ・・・」(1971)のような派手過ぎず、真面目に作られたSFが大好きです。
pagutaro-yokohama55.hatenablog.com
同じような体内冒険を扱った作品で「インナースペース」(1987)というのがあります。
スティーブン・スピルバーグ製作総指揮、ジョー・ダンテ監督という「グレムリン」(1984)コンビの映画で、公開当時見てかなり面白かった記憶があります。
これも是非見直してみたいです。
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