パグ太郎の<昭和の妖しい映画目撃者>

昭和の映画目撃談&時々その他いろいろ

【レッド・ツェッペリン:ビカミング】世界最高のロックバンド出生記録

昭和生まれ、且つ洋楽系ハードロック好きにとって、学生の頃に常に問われたのは「お前はディープ・パープル派?それともレッド・ツェッペリン派?」でした。

今はそこにブラックサバスが含まれるようですが、当時はブラックサバスはマニア中のマニアが聴くものでした。特に僕の育った岐阜では。

 

ちなみに僕の周り(当然全員岐阜生まれの岐阜育ち)にはただ一人を除いて全員ディープ・パープル派でしたね。

あの時、高校でたった一人レッド・ツェッペリン渋谷陽一さんを推していすたフシミ君は今どうしてるんでしょうか・・・(遠い目)

 

渋谷陽一さんはレッド・ツェッペリンの熱狂的なファンで知られる音楽評論の大家だった方です。

 

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ところが横浜に出て来た時、レッド・ツェッペリン派の人がかなりいることが分かりました。

そして大半の人が「ディープ・パープル?同じレベルじゃないし、俺たちメタルっぽいの嫌いだし」というスタンスでした。(雰囲気もディープ・パープル派より大人っぽい人が多かった)

 

そんなこともあって、ガチのディープ・バープル派の僕(好きなバンドはレインボーとホワイトスネイク)からしたら、「レッド・ツェッペリンは住む世界が違う」「何故、上から目線?」って感じで、食わず嫌いになった面がありました。

なので、かなりいい歳になるまでレッド・ツェッペリンを真剣に聴いたことなかったんですよ。

(まぁ、それでも代表曲は知ってたし、リスペクトはしてたので「ペイジ/ プラント」の1996年の来日公演は行きましたが)

 

でもある時、彼らのファーストアルバムをちゃんと聞いたら、「何てカッコいいんだ!」って思っちゃったんですよ。

ディープ・パープルみたいにカチっとしてないけど、何でもありの懐の深さ。

そしてそれを全部ロックとして仕上げる凄さ。

きっと当時の僕は形がきっちり決まってる様式美ハードロックはお腹いっぱいになっていたんだと思います。

だから本来自分が持ってた雑食性が出てきて、音楽的許容度が広がったことでレッド・ツェッペリンの良さが分かるようになってたんじゃないでしょうか。

(同じ時期にジミー・ヘンドリックス、ローリング・ストーンズ、クリーム、ドアーズをカッコいいと思うようになりました)

 

その後、キチガ○のようなツェッペリン好きの人と一緒に働いたこともあり、どっぷりツェッペリン好きに。

今ではディープ・パープルを聴かない月はあっても、レッド・ツェッペリンは必ず聴いてます。

特にアルバム「聖なる館」(1973)に収録されている「ノー・クォーター」がお気に入り。

 

No Quarter

No Quarter

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そんなレッド・ツェッペリンの初の公式ドキュメンタリー映画レッド・ツェッペリン:ビカミング」(2025)が出来たということで、早速劇場に足を運びました!

昭和の伝説的ロックバンド、世界最高のロックバンドを取り上げた映画なので、このブログとして「公式」レビューします!

 

(あらすじ)

1940年代に生まれた4人の若者がミュージシャンの道を目指していた。10代の頃からセッションミュージシャンとして名前が売れていたギタリスト、ジミー・ペイジは、ヤードバーズという人気バンドに加入。しかしヤードバーズ解散に伴い、自分のバンドを結成することを決意。同じくセッションミュージシャンとして活躍していたベーシストのジョン・ポール・ジョーンズを迎え入れる。次にボーカリストとして、売れないミュージシャンだが、実力はピカイチのロバート・プラントを選び、彼の推薦でドラマーのジョン・ボーナムが参加することになる。この4人のバンド、レッド・ツェッペリンはこの後、世界最高のロックバンドになっていく・・・


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見たのは横浜のプルグ13という映画館。

IMAXという巨大スクリーン、高音質大音響での上映です。

一日一回の上映ということで、ロビーにはこの映画の入場を待つ人が溢れてました。

僕が見たのは公開5日目でしたが、既にパンフレットは売り切れ。先日、同じブルグ13で見た「大長編 タローマン 万博大爆発」(2025)より凄い人気です。

そして想像通りでしたが、年齢層の高いこと。

観客の大半は、僕より歳上の「リアルタイム」世代っぽいです。

しかし現役感のあるおしゃれさんが多く、今でもロック好き!みたいな人が目立ちました。

(僕はレッド・ツェッペリンが解散した年ぐらいから洋楽を真剣に聞き始めたので、完全に後追い世代)

 

さて、映画はメンバーの生い立ちから始まって、レッド・ツェッペリンが二枚目のアルバム「レッド・ツェッペリンⅡ」(1969)を発売した後ぐらいまで。

要は彼らが母国イギリスで大成功を収める直前ぐらいまでが描かれてます。

(この映画で知ったのですが、最初にアメリカで人気が出たんですね)

 

まぁ、解散までやってたらあと3倍の時間は必要なので、2時間でそこそこちゃんと語るには「レッド・ツェッペリンⅡ」までが限界かな。

そもそもタイトルが「ビカミング」=レッド・ツェッペリンになるまで、になってるので理にかなってます。

レッド・ツェッペリン:ビカミング_映画館入口

進行はドキュメンタリー映像に、各メンバーがコメントをする形式。そこに今は亡きドラマーのジョン・ボーナムの初出のインタビューが入られてます。

(ジョン・ボーナムの死がレッド・ツェッペリンの解散の原因)

 

このジョン・ボーナムのインタビューがいいんですよ。

残った3人のメンバーが、彼のインタビューに対し懐かしそうに、そして嬉しそうにコメントするんですよ。

その姿にほっこりしました。

 

ただし全体的には既出の映像が多いみたいで、コアなファンからすると物足りないところもあるようです。

でもそこまでコアではない僕は「こんなことがあったんだ」と楽しめました。

 

例えばレッド・ツェッペリンのメンバーの中で、最も豪快でめちゃくちゃなキャラは故ジョン・ボーナムだと思ってたんですよ。

でも、結成当時、ジョン・ボーナムの彼女はロバート・プラント(ボーカル)とは一緒にやらないで。彼はめちゃくちゃだから」って反対してたのは驚きでした。

 

またジミー・ペイジ(ギター&リーダー)が「昔からの仲間であるエリックやジェフは自分のバンドで成功してるのに」って焦ってた、って話すシーンは興味深かったです。

エリックとはエリック・クラプトン、ジェフとはジェフ・ベックという、ロック史に名を刻む有名ギタリストのことです。

 

この3人の共通点はヤードバーズという、当時売れてたバンドのギタリストだいうこと。

最初はエリック・クラプトンがいて、彼が辞めて入ったのがジェフ・ベック

そのジェフの誘いでヤードバーズに最初は加入したのがジミー・ペイジ。(当初はベーシストだったらしいです)

一時期、ヤードバーズジェフ・ベックジミー・ペイジツインギターという豪華な布陣でした。この期間は1年もありませんが、映画「欲望」(1967)の中でこのラインナップの演奏シーンが見れます。

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やがてジェフ・ベックも去り、ギターがジミー・ペイジ一人に。

エリック・クラプトンは脱退後、伝説的なバンド「クリーム」を結成。

ジェフ・ベックも「ジェフ・ベック・グループ」を結成して成功を収めてます。

(「ジェフ・ベック・グループ」の第一期のボーカルは売れる前のロッド・スチュワート、第二期のドラマーは、そのバンドの後、レンボー等数々の有名ハードロックバンドを渡り歩く名手コージー・パウエル)

 

そして残ったジミー・ペイジヤードバーズの主導権を握り、自分のやりたいことを始めるんです。

そして、この末期のヤードバーズが、やがてレッド・ツェッペリンの母体になってるんですね。

実際にヤードバーズ時代に、のちのレッド・ツェッペリンの名曲「幻惑されて」が既に演奏されてたのは有名な話。

僕もそれは知ってたんですが、今回その演奏シーンが見れたのは嬉しかったです。

 


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ジミー・ペイジがボーカルのキース・レルフのパフォーマンスに不満足だった、という話がありますが、ヤードバーズ版の「幻惑されて」を聴くと、彼のボーカルがロバート・プラントに全く及ぶレベルにないことが分かります。

 

Dazed and Confused

Dazed and Confused

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ちなみにレッド・ツェッペリンの超初期には契約の問題もあって、「ニューヤードバーズ」の名前でライブをやってます。

 

あと驚きだったのは、レッド・ツェッペリン結成前に名うてのセッション・ミュージシャンだったジミー・ペイジとジョン・ボール・ジョーンズがシャーリー・バッシーの名曲「ゴールドフィンガー」のレコーディングに参加していたこと。これは知りませんでした。

ゴールドフィンガー」はあの007シリーズの3本目「007/ゴールドフィンガー」(1964)の主題歌

「007/ゴールドフィンガー」は007シリーズの中でも傑作に数えられる1本で、007といえば秘密兵器、特にギミック満載のボンドカーもこの映画が始まりでした。

この主題歌も大ヒットし、我が家にもレコードがあったんですよ。

映画好きだった小学生の頃からよく聴いてました。

だから僕の初ジミー・ペイジ&ジョン・ボール・ジョーンズの体験は小学生の時だった、って知りました!

 

Goldfinger

Goldfinger

  • シャーリー・バッシー
  • ポップ
  • ¥255
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またデビュー初期に、まだ家族連れが来るようなポップスの会場で演奏し、子供があまりの爆音に耳を塞いでるシーンが、面白かったです。

 

この映画を見て思ったのは、彼らはハードロックをやろう、ではなく、自分達の好きなブルースやロックンロールをラウドで激しく演奏したかった、ってこと。

最初に顔合わせをした時に演奏したのがロックンロールの「トレイン・ケプトア・ローリン」。

多くのバンドにカバーされてる軽快なブルースです。

前述の映画「欲望」の中でヤードバーズが演奏してるのはこの曲。

(権利関係で、歌詞を変え、タイトルを「ストロール・オン」にしてますが)

 

だからハードロックというカテゴリーではなく、何でもありだったんでしょう。

どんな曲でも俺たちレッド・ツェッペリン流に料理して演奏するよ、って。

彼らの最後のオリジナルアルバム「イン・スルー・ジ・アウトドア」(1979)に収録されてる「フール・イン・ザ・レイン」って曲が好きなんですけど、全くハードロックじゃない(ってか、ロックでさえないかも)んです。サンバっぽいんですが、カッコいいんですよね。

 

Fool In the Rain

Fool In the Rain

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反対に7枚目のアルバム「プレゼンス」(1976)のオープニングを飾る「アキレス最後の戦い」なんて、もろに超絶ハードロックの名曲。

 

Achilles Last Stand (Remaster)

Achilles Last Stand (Remaster)

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こういう、ロックの土壌の上で「何でもあり」のスタイルが、ハードロックを終えて「いい音楽なら何でも聴きたい」に戻った僕にはとても心地好いんです。

だから彼らのファンも「ハードロック」とか「ヘビーメタル」とか、そんな風にカテゴリーされるのが嫌だった、っていうのは今はよく分かります。

 

今になって、やっとあなたがレッド・ツェッペリンを推してた意味が分かりましたよ、渋谷陽一さん!!!

 

そんな彼らを象徴するのが、エンディングのクレジットの時に流れる曲。

普通なら彼らのオリジナル曲を流すじゃないですか。

でも流れたのはどちらもカバー曲。

エディ・コクランの「カモン・エヴリバティ」と「サムシン・エルス」。

もう、めっちゃかっこいいし、誰が聴いてもレッド・ツェッペリン

彼らのルーツを表す意味で、この曲がチョイスされた気がします。

 

ちなみに僕は70~80年代に活躍したイギリスのバンド・UFOが好きなんですが、偶然にも彼らもこの2曲をカバーしてました。

(だから僕はUFOのバージョンでこの曲を知りました)

 

Somethin' Else (22/6/69 Pop Sundae)

Somethin' Else (22/6/69 Pop Sundae)

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あとジミー・ペイジが、レッド・ツェッペリンはアルバムバンドで、シングルは出さないと決めていたのも初めて知りました。

契約の時、かの有名なマネージャー、ピーター・グラントがシングルを出さないという契約をレコード会社に呑ませてたんですね。さすが、伝説的なやり手マネージャー!

それでもジミー・ペイジは勝手にシングルにされることを警戒して、セカンドアルバムの代表曲「胸いっぱいの愛を」を録音する時、中間部にシングル向きではない風変わりなパートを入れたこともこの映画で知りました。

この曲は映画「F1(エフワン)」(2025)のオープニングのレースシーンでも使われてました。

 

Whole Lotta Love

Whole Lotta Love

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演奏シーンは普通のドキュメンタリーにあるような、1番だけとか、そこそこ程よいところで切り上げるのではなく、基本的には最初かた最後まで見せてくれます。

この辺りはマニア心理をくすぐってくれますね。

ただリミックスをしているとはいえ、やはり元の映像、音が60~70年代初期の代物なので、リマスターには限界があったと思います。

音の大きさは迫力ありましたが、IMAXで期待したような音像はなかったです。

 

レッド・ツェッペリンのコアなファンからすると「知ってることばっかり」「見たことあるものばっかり」かもしれません。

しかし僕のような「曲は知ってるけど、彼らのヒストリーはそこそこしか知らない」ファンにとってはなかなか興味深い作品で、2時間そこそこを飽きることなく楽しめました。

 

反対にレッド・ツェッペリンを全く知らない人が見たら、楽しめるかどうかビミョーです。

ドラマ部分もアマチュア時代のロバート・プラントの話はちょっと紆余曲折があったけど、あとの3人は地道にステップアップしてます。

4人揃ったらいがみ合うことなく結束を固め、最高のアルバムを作った、という流れは一般的な目で見ればドラマ的盛り上がりが欠けるんじゃないでしょうか。

また前述の演奏シーンを丸々やってくれるので、彼らの音楽に興味がないと冗長に思えるかも。

 

だから彼らの曲は知らないけど、この映画に興味を持ったという人がいたら、まず代表的な曲を聴いてみることをお勧めします。

もしその曲をカッコいいと思ったら、Wikipediaで略歴を読んでから観に行って下さい。

 

この映画は「基礎知識を要す」です。

 

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