何度も同じことを書いてますが、僕が子供の頃の岐阜は二本立てが当たり前。映画館の数は少なくなかったと思いますが(1980年代は岐阜市の中心地に10館ぐらいありました)、それでも地方ってことで二本立てで、かなりの数の映画を公開してました。
ただ二本立てのカルチャーも昭和と共に終わってしまった気がします。
今は地方でも映画=シネコンなので、全国的に二本立て封切っていうのはなくなっちゃったんでしょうね。
で、その二本立てですが、東京の名画座のようにテーマを決めて、「この映画を見る客なら、こっちの映画も楽しめるだろう」なんて考えられたものではなく、ただ思い付きの抱き合わせが多かったように思います。
一番印象的な二本立ては「ルパン三世/カリオストロの城」(1979)と香港製コメディ映画「Mr.BOO! ギャンブル大将」(1974制作/1979公開)。
ちなみにこの組み合わせのメインは「Mr.BOO! ギャンブル大将」の方でした。当時、Mr.BOOは流行ってましたからね・・・
この二本立てのおかげで、「興味はなかったけど、見たい映画の抱き合わせだから仕方なく見たら、意外に面白かった」という貴重な経験もしました。
しかし二本立てを見ていると、「都会の人は、この映画一本だけを見るために映画館に行くんだろうか?」と思うような映画にもよく出会いました。
どう考えても、単体では客が呼べそうもない映画。
きっと配給会社も海外の映画会社に抱き合わせで押し付けられたんだろうなぁ、って勝手に想像するような映画です。
話が長くなりましたが、そんな一本がピーター・フォンダ主演の「アウトローブルース」(1977)。
岐阜での同時上映は、当時人気絶頂だったクリント・イーストウッド主演の「ガントレット」(1977)。
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どう考えてもメインは「ガントレット」という二本立て。
「アウトローブルース」は完全に添え物です。
勿論、僕も公開当時は「ガントレット」目当てで、映画館に行ったこともあり、この映画の記憶はほとんどありません。
ボートで川みたいなところで追っかけこしてたような・・・そんな程度。
さて、どんな映画だったんでしょうか。
(あらすじ)
収監された刑務所でギターを習い、徐々に腕を上げ。やがて曲を作るようになった主人公。その刑務所に人気に陰りの見える、かつてのスター歌手が慰問でやってきた。主人公は、リハーサルの時に彼のバンドと自分のオリジナル曲を演奏すると、聴衆はその歌に聞き惚れた。スター歌手もその一人だった。その後、ラジオから彼の歌が流れる。歌っているのはあのスター歌手だった。主人公は訴えたが相手にされず、出所すると彼のスタジオに向かった。そこで自分の曲だと主張するが、事実を知っているバックバンドも彼には反対しなかった。怒った主人公とスター歌手は取っ組み合いになり、スター歌手が持ち出した銃が暴発。スター歌手は足を怪我してしまう。スタジオをから逃げた主人公は、スター歌手を銃で撃った容疑で警察に追われる。彼が逃げ込んだ先にいた女性はスター歌手のバンドにいて事情を理解していた。彼女は主人公に逃走しながらレコードを出すことを提案する・・・
刑務所に尊大なスター気分が抜けない落ち目の大物歌手が慰問にやってきて、そのリハーサルの時に、囚人の主人公が自作の歌を演奏すると、周りは「お、いい曲じゃん」って反応になり・・・、っていう出だしだけで、曲が盗まれるという展開がバレバレの映画。
とってもB級娯楽映画。
これがブルース・ウィルスが主演だったら、ラジオから流れてくる曲を聞いて、「そのヒット曲は俺のだ!あいつ、盗みやがって!許せねぇ」って、脱獄し、警察とカーチェイスしながら、盗んだ歌手を追い詰めるっていう話になるんでしょうが、この主人公は、ちゃんと刑期を終えてから、歌手のところに行きます。
そこで取っ組み合いになって、銃の暴発で相手を殺すんじゃなくて、足に怪我をさちゃうぐらいっていう緩めの展開。
全編が緊張感があるんだか、ないんだか分からないです。
主人公を演じるのはピーター・フォンダ。
血統の良さと、B級スターぶりは、先にレビューした「未来世界」(1976)に書いた通り。
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この映画の主人公は、違法なことをするけど、悪ではなく、飄々とノリでこなしてく軽さと明るさを持ち合わせたタイプで、彼にはピッタリです。
指名手配されつつも、リラ的にレコードを出して、民衆の人気者になっていくのも、軽やかに見えます。
もっと言えば「未来世界」の主人公も、マニアなファンの多い「ダーティー・メリー/クレイジー・ラリー」(1974)のクレイジー・ラリー役も似たようなものでした。
むしろ、ピーター・フォンダというキャラが、どの映画でも雰囲気を支配しちゃうのかも。
そんな彼だからこそ、指名手配されながら突然、レコード店に現れたり、ラジオ番組に出演したり、と警察を先手・先手でかわしながら、人気を集めてく様が見事にハマっていました。
その辺りはおとぎ話っぽく、同じように悪人(銀行強盗)が民衆の支持を得ていく「狼たちの午後」(1975)のような重さやシリアスさはありません。
まぁ、あっちは主演がアル・パチーノですからねぇ。
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正直、話は定番な作りで、驚きや意外性は皆無です。
でも、監督はそれを奇をてらうことなく、B級娯楽作に求められるノリを演出していて、とっても話と映画的なノリ(演出)がしっくりしてるんですよね。
この人は前述の「未来世界」でも監督を務めています。
あの映画自体は全然ダメダメでしたが、ピーター・フォンダの良さは引き出してました。
そう思うと、スケール感が求められるような映画は苦手だけど、ピーター・フォンダとの相性は良さそうです。
この映画の監督は適材適所だと言えます。

ヒロイン役のスーザン・セント・ジェームズもカラッとした雰囲気で、映画の作風にも、ピーター・フォンダにも合ってました。
結構いい女優だと思うんだけど、映画の出演本数は少ないんですよね。
彼女のキャラ的には、この時代だったら売れる要素はあったと思うんですけど。
最後に主人公たちがメキシコまで逃げきってハッピーエンドになるんですが、これって破滅的な終わりが多いニューシネマ、特に「バニンシング・ポイント」(1971)の意趣返しなのかな?って思いました。
ちなみに曲を盗んだスター歌手や彼を追い回す警察署長(最後は市長になる)が懲らしめられることはありません。
見ている方としては悪人が地団太踏んで後悔するようなオチが嬉しいんですが、主人公たちが無事に逃げたから、敵もそのままでいいか、みたいなホワーンとした終わり方でした。
全般的にB級以外何物でもない映画。
適度にアクションがあって、適度に恋愛があって、適度にお笑いがある。
そんな気軽に見れる70年代テイストの娯楽作としては悪くないんじゃないですかね~。
きっと昔はこんなこと思わなかったんでしょうけど、近年、こういうお気楽に楽しめる現代が舞台の娯楽作がめっきり減ったからだと思います。
そういう意味では当時と印象がちょっと変わりました。
「アウトローブルース」の原題も「Outlaw Blues」なんですけど、彼が演奏しているタイトル曲(盗まれる曲)はブルースというよりカントリーっぽいです。
歌ってるのはピーター・フォンダ自身です。
新品DVDは入手困難なようです。