「トワイライトゾーン/超次元の体験」(1983製作/1984日本公開)はスピルバーグ製作・監督という売り込みで大々的に宣伝されました。
実際はスピルバーグ監督を含む、当時の人気監督4人のオムニバス映画。
元ネタは1950年代の超有名テレビドラマ「トワイライトゾーン」(邦題ミステリーゾーン)。それを見ていた世代の監督達が、「自分達でオリジナルの劇場版を作っちゃおう」っていうノリで出来た映画がこれです。
劇場公開時に期待して見にいったんですが、「ん?なんか物足りない」って感想でした。
そんなワケで40年経った今まで、見返したいという気持ちは起こらなかったんですがが、またもやプライムビデオの100円セールにつられて見ることに。
さて、どの話が面白いんでしょうか?
(あらすじ)
深夜の人気のない道をドライブする男二人組。TV番組のトワイライトゾーンを覚えてるか?という話で盛り上がった後、一人が言った。「本当に怖いものを見たい?」
そこから色々な不思議な話が始まる。最初は激しく人種差別をする男の話だった・・・
当時はスティーブン・スピルバーグ監督の名前が全面に出てました。
でも実際は彼とジョン・ランディス(「狼男アメリカン」(1981)「アニマルハウス」(1978)「ブルースブラザーズ」(1980))が製作をし、監督はスピルバーグとランディスに加えて、ジョー・ダンテ(「ピラニア」(1978)「グレムリン」(1984))とジョージ・ミラー(「マッドマックス」シリーズ)の4人で1話づつい行う形式のオムニバス映画です。
話はそれぞれジャンルが違っていています。
ただ正直、映画的にグサっとくるところが少ないのが難点。
また4話のオムニバス作品ということもあって、映画全体の印象っていうのが薄いんですよね。
全体としては、「悪くなかったねー」「そこそこ面白かったねー」程度。
グサっとくるところが少ないは、スピルバーグ監督が製作していることが関係してるのかもしれません。
個人的に一番面白かったのは、ジョン・ランディスが監督した第一話「偏見の恐怖」。
人種差別をする男が、第二次世界大戦下のドイツでユダヤ人になってナチスに追いかけられたり、ベトナム戦争下のベトナム人になってアメリカ軍に追われたりする話。
ちょっと道徳的だけど、皮肉が利いていて、大人のダークファンタジー感があります。
憎々しげに人種差別主義者を演じた主演のヴィク・モローが印象的。
残念なのは、この映画の撮影事故で亡くなってしまったこと。そのためこの話も予定していたエンディングとは違うエンディングになったそうです。
確かに「ちょっと短いかな?」とは思いましたが、終わり方に違和感はなかったです。
一番インパクトがあったのは、ジョージ・ミラーが監督した一番最後の物語「2万フィートの戦慄」。
飛行機恐怖症の男(ジョン・リスゴウ)が、飛行機の窓から外を見ると、翼の上でエンジンを破壊している化け物がいた、という話。化け物がグレムリンっぽいんですが、演出はまさに「マッドマックス」級のパワフルさ。
最後は銃を取り出して、飛んでる飛行機の窓を突き破って化け物を撃とうとする展開はまさに「ありえない!」。でも、それを強引に見せ切っちゃうパワーが凄いです。
二番目のスピルバーグが監督した老人が若返る話「真夜中の遊戯」はとってもコンパクトにまとまってる、というか、コンパクトにまとまりすぎ。
毒が全くない。
ターゲット層はSF好きの大人だと思うんですが、この作品はファミリー向けって感じがします。
さすがに出来はいいんですが、見せたいものと見たいものに差があるんじゃないんでしょうか・
ジョー・ダンテの「こどもの世界」は、アニメっぽくて絵的に面白いところが多いんだけど、脚本が雑。
説明もオチもいまいち書き足りてないので、イメージビデオを見てるような感じがして、話が全く頭に残りません。
そもそとオリジナルのTV「トワイライトゾーン」(日本放送時の邦題は「ミステリーゾーン」)がSF・ファンタジー・ホラーをベースにした多種多様な一話完結型のオムニバスだったので、それを再現したんだと思いますが、逆に仇になってます。
同じくオムニバスにするなら、ホラー世界で統一された名作「世にも怪奇な物語」(1968)みたいに、ジャンルを統一した方が、映画としての色は出せたんじゃないでしょうか。
あ、そしたら、反対にバラエティが取り柄の「トワイライトゾーン」っぽくなくなるんですかね?
全体としては70点ぐらいですが、バラエティに富んでいるので、暇な時にサラっと見るには良いと思います。
良くも悪くもスピルバーグの安心印がついた作品。
そういう意味で「スピルバーグ作品」という宣伝はあながち間違いではなかったと思います。
DVDはお手軽に入手出来るようです。