パグ太郎の<昭和の妖しい映画目撃者>

昭和の映画目撃談&時々その他いろいろ

【類猿人ターザン(1981)】記憶に間違いなかった?!超凡作

子供の頃に見た映画の大半は、おおまかな印象と、どうでもいいシーンぐらいしか覚えてないです。

最近は、そのおおまかな印象が間違っているんじゃないかって思ってます。

特に「面白くない」っていう印象を持った映画は、「実は子供だったから、面白さが分からなかっただけ」なんじゃないかって疑ってます。

だから当時、「つまらなかったなー」と思った映画でも、「もう一度見てみよう!」という気の迷いが生じます。

 

そんな「当時面白くなかった」映画の一つが「類猿人ターザン」(1981)。

 

「つまらない」「監督が奥さん自慢をするために撮った映画」という印象しかありません。

そんな映画がPRIME VIDEOの100円レンタルにあったんです。

気の迷い発動。

 

さて、子供の頃の僕は間違っていたのか検証します!

(あらすじ)

子供の頃、自分と母親を捨てた冒険家の父を訪ねて、アフリカの奥地までやってきた主人公。そこで出会った父は無軌道な冒険家だったが、彼の探検に随伴することにする。その地は、人々が巨大で、強力な猿<ターザン>を恐れる場所だった・・・


www.youtube.com

 

記憶では同時上映は「タイタンの戦い」(1981)。

特撮の名匠ハリー・ハウゼンの遺作で、2010年に同名タイトルでリメイク&続編が作られてます。

そんな映画と何故、この映画が同時上映かというと、きっと「たまたま公開時期が同じだったから」だけではないでしょうか。

それ以外に考えられない組み合わせです。

映画ファンとしては、どんな組み合わせでも、岐阜で一本でも多くの映画が見れるだけで有難いんですが、ちょっと複雑な気持ちです

勿論、僕の目的は「タイタンの戦い」の方。

既に見る前から「類猿人ターザン」の悪評は聞こえてましたが、入場料の元を取るために見ました。

ちなみに見たのはロイヤル劇場です。

 

出だしは普通です。

いや、往年の冒険活劇を彷彿させて、「悪くない」です。

「なんだ、僕の印象が間違ってたのか」

 

だが、そう思ったのもつかの間。

 

ヒロインが海岸ですっぽんぽんになって泳ぎだすところから、雲行きが怪しくなってきます。

とにかく彼女がひたすら美しいヌードを見せびらかします

(確かに顔も綺麗だし、プロポーションがびっくりするぐらい美しい)

だけど、さすが綺麗なヌードでも長々と見せつけられると飽きます。

それぐらい長い。

 

この後は何かと理由をつけて彼女はヌードになったり、スケスケの恰好になったりする、彼女のちょいエロいプロモーションビデオ状態

全て長い。

 

監督はヒロイン役のボー・デレクの30歳上の旦那、ジョン・デレク

製作はボー・デレク本人。

プロモーションビデオというのも納得です。

ちなみにジョン・デレクの監督作は4本ありますが、うち3本は嫁さんであるボー・デレク主演。

どんだけ嫁さん好きなんだか。

 

ともかく、そんな本筋とは関係ない長いシーンが定期的に入ってくるので、せっかくの冒険話がブツブツと細切れになって、リズムが悪くなります。

 

せっかく名優リチャード・ハリスが、主人公の父親で、いかさま臭い冒険家を怪演してるだけに残念です。

これ、リチャード・ハリス中心の映画にした方が俄然面白くなったハズです。

 

あ、それだとデレク夫妻がこの映画を作る意味なくなりますね。

 

リチャード・ハリスと言えば、晩年はハリー・ポッターシリーズのダンブルドア校長役が有名だし、ヒット作・名作に何本も主演している俳優です。

(個人的には、爆弾処理のプロを演じた「ジャガーノート」(1974)が好きです。)

 

そんな彼が何でこんな映画に出てるんでしょうか?

お金のためだったのかなぁ・・・

 

ターザンは勿論出てきます。

当然、言葉が話せないという設定なので、セリフはなし。

「オウオウオー」っていういつもの雄叫びだけです。

 

後半はターザンとジェーン(ヒロイン)が恋に落ちるんですが、薄着で川につかっているジェーンに近づいたターザン。おもむろにおっぱいを触り始めて、やがて服の中に手を入れて触るんです。

設定としては「初めて見る女性の胸に好奇心を持った」ってことなんでしょうけど、ターザンの触り方が妙にエロいです。

まぁ、どうでもいいんですけど。

 

この後も意味不明な彼女のヌードシーンが何度も出て、最後は悪の族長をターザンが倒してTHE END!かと思ったら、エンドロールで、裸のジェーンがターザンとラブラブで転げまわるシーンが延々と映し出されます。

途中で映像が消えてエンドロールだけになるのかと思ってましたが、最後の最後までラブラブヌードが映し出されてました。

 

そんなワケで主人公はターザン・・・ではなく、ジェーンでもなく、ボー・デレク自身

ポスター(DBDのジャケット)も、タイトルが「類猿人ターザン」なのに、彼女のイラストだけ。

ちなみにこんなシーンないですけどね。

類人猿ターザン(1981) DVDジャケット

ちなみに日本版のパンフレットは、ちゃんと「ターザン」っぽくなってます。

こっちの方が良心的ですが、残念ながら映画の本質を表してるのはDVDのジャケットの方です。

 

類猿人ターザン パンフレット表紙

 

この映画で、彼女は最低映画に贈られるゴールデンラズベリー主演女優賞を受賞しています。

彼女の名誉のために書きますが、演技は決してド下手ではありません。中の下くらいです。

 

先に書きましたが、旦那監督、嫁さん主演でこの映画のあと、まだ二本作ってますが、どちらもゴールデンラズベリー主演女優賞と監督賞を取ってます。

(ボー・デレクはゴールデンラスベリー賞10周年記念の10年間最低女優賞も受賞しています)

 

他の二本は見たことありませんが、旦那による「嫁さんの(ちょっとエッチな)プロモーションビデオ」であることは間違いないでしょう。

 

この映画も結局、旦那がデレデレしながら俺の嫁さん、見て。こんなに若くて綺麗なんだぜ。サービスに裸も見せてやるよ」という風に撮影したと想像されます。

製作の嫁さんも嫁さんで「私って綺麗でしょ?」なのかもしれませんが・・・

ちなみに残りの2本も彼女の製作です。

 

ある意味、最強の夫婦愛かも?

 

これも庇うわけではありませんが、撮影や演出自体は悪くないし、ロケのスケール感もあります。

ちゃんとした編集者がボー・デレクのシーンを適度にカットしてれば、それなりのB級娯楽作になったと思います。ただそれだとここまで馬鹿にされることもなく、歴史に埋もれて、完全に忘れ去られたハズですけど。

 

もうボー・デレクを見るしかないネタ映画。

そりゃ子供の時の「面白くない。何も印象に残らない」というのは正しかったです。

(ヌードシーンも綺麗だけど、ドキドキ感ないから記憶に残らないです)

 

ただし今回見て発見が全くなかったワケではありません。

<ターザンの触り方がエロい>ことは新たな発見でした。

さすがに当時の僕には分からなくても仕方ないですけど(笑)

 

そう言えばターザンの相棒としてオラウータンが出てきますが、オラウータンはアフリカには生息していません。

またライオンが海辺に来て、波の中に入ってくんですが、ライオンはそんなことしないんじゃないんでしょうか?

 

そういうところがイメージ先行で、雑です。

 

これを見て、反対に同じく80年代に作られた超真面目なターザン物「グレイストーク -類人猿の王者- ターザンの伝説」(1984)が見たくなりました。

 

DVDはお手軽に入手出来るようです。