「アタック・オブ・ザ・キラートマト」(1978製作/日本未公開)・・・
(あらすじ)
人類に積年の恨みを募らしたトマトたちが、無差別に人間を食べ始めた。しかし、立ち向かう政府、軍隊は間抜けな人材の宝庫だった・・・
80年代にSFマニアだった人には、一種の憧れを持って語られる映画です。
アメリカ公開は1978年。日本未公開。
当時のSF雑誌「スターログ日本版」等で、カルト的な映画と紹介され、「マイナー映画まで網羅したこと、本当のSF漢」と勝手に自任していた僕のような子供たちに、妙な憧れを持って強く記憶された映画。
「アメリカには、日本で公開されなていない、すげーB級映画があるらしい」
放課後の放送室で同じB級SF映画ヲタクのウチダ君と、「これ、絶対見たよね」と盛り上がった思い出があります。
(彼と僕とのナンバー1映画は「デスレース2000年」)
でも冷静に考えたら、「凄いB級映画」って既に日本語的におかしいですよね?
普通の映画ファンが見向きもしないB級映画こそが真の映画と、根拠なく信じていた僕ら。このおかげで人生を何百時間も無駄にしたかと思うと、クラクラします。
しかし当時はまだビデオデッキを持っている家庭がほとんどない時代。当然レンタルビデオもありません。(やっとレンタルレコードが始まったぐらい)
当然、地上波でもこんな映画は放送してくれません。
そんなワケで憧れだけが肥大していきましたが、社会人になり、他に見なきゃいけない映画や読まなきゃいけない漫画、聞かなきゃいけない音楽に忙殺され(?)、「アタック・オブ・ザ・キラートマト」はいつの間にか「あんなに好きだったのに、見れなかったね」という甘酸っぱい青春の思い出のような扱いになってました。
これが大人になるってことですかね?
が、しかし時が過ぎ、最近、AMAZONのPRIME VIDEOを見ていたら
「アタック・オブ・ザ・キラートマト」期間限定100円レンタル
と、あるじゃないですか!!!
100円払うだけで、家ですぐに「アタック・オブ・ザ・キラートマト」が見れる?
なんて素晴らしい時代なんだ。
21世紀バンザイ!!
早速、購入手続きをして鑑賞しました。
いやー、マジでちゃちいです。
さすが自主映画レベルの低予算。
ダン・オバノンの「DARK STAR」に出てきた宇宙生物(ビーチボールにスプレーで模様を描いただけ)を彷彿させるトマトたち。
まぁ、昭和の学生自主性制作映画のノリです。(今の映像系学校の生徒なら何百倍も凄いものを作りそう)
出演者の演技も、まぁ、あの、あれなレベルです。
基本コンセプトはコメディで、笑いのツボがよく言えば「モンティパイソン」風、身近なところで「8時だよ、全員集合」に通じるノリです。もちろん、そのどちらよりもレベルは落ちます。
が、この映画の見どころ(?)は、危険なのはトマトではなく、愚かな政府だという社会派的筋書きです。
とにかく状況を悪化させていくのは、おバカな政府関係者たち。
そういう意味では「博士異常な愛情」に共通するものがあります。(キューブリック監督、引用してごめんなさい)
「トマト」をやっつけるのは、古い甘ったるいポップス。
あー、これが僕の大好きなティム・バートンの「マーズ・アタック」の元ネタだったんだ、元ネタ見れてよかった~と妙な満足感。
こんな映画を下敷きにしても、ちゃんとした監督が、ちゃんとお金をかけて作れば、ちゃんと面白い映画になるんだ。素材は間違ってなかったのだ、と意味不明に納得。
B級どころか、Z級とも評される「アタック・オブ・ザ・キラートマト」ですが、前述のように「マーズ・アタック」の下敷きになっていたり、その後、続編(全部で3作?)やアニメにもなったように、しっかり認知され、人気もあるようです。
(完璧版というバージンも作られているらしい・・・)
アメリカにもオカシい人が多いってことです。こんな映画が好きだってだけじゃなく、続編やアニメを作って資金回収出来ると思ったことがイタいです。
赤字になってもいい!っていう、この映画への愛で作ったとしたら、もっと重症です。
とにかくカルト映画ファンとしては、見ておかなければならない映画を、やっと見たという満足感はあります。義務を果たした、的な・・・(誰に対する義務?)
やっぱりB級映画はこのノリだよねー、という期待を裏切らなかった点も評価できます。
だけど今すぐ続編を見るかというと、ちょっと時間をおきたいなぁ、というのが正直なところ。
また普通の映画好きの人には・・・絶対に勧めることは出来ません。あくまでも超マニア向けです。
ちなみに今は大手のレンタルビデオ屋さんにも置いてあるようです。
いい時代になったなぁ・・・VIVA、 21世紀!!!
(これがコレクターズエディション=完璧版なんでしょうか?)